バブル崩壊後,日本企業は大きな変身を遂げた。経営モデルが変わり,組織が変わった。そのなかでマネジャに求められるものは何か。それが本書のテーマである。
著者は経営やITなど様々な分野で企業コンサルティングに従事。多くの企業でマネジャ教育も実施してきた。その経験を基に36のケーススタディで“マネジャの疑似体験”ができるようにしている。すべて実話がベースというだけに,多くのマネジャが遭遇し悩みそうなケースばかり。例えば「人が人を評価する難しさ」は,会社が導入した新人事制度に対し,部下からクレームが出たというものだ。
各ケースでは,その状況で「読者がマネジャならどうするか」の選択肢を四つ提示。それぞれに点数をつけ,その根拠を解説する。企業によって環境が異なるため,著者が示す“正解”が納得できないケースがあるかもしれない。しかし解説を読むと自分の考えとの違いが明らかになり,マネジャとしてあるべき姿を整理できる。
巻末の診断シートや添付CD-ROMに収められているExcelシートへ36ケースの点数を記入/入力すると,3分野10項目でのマネジャ能力診断ができる。自分の強みと弱みがひと目でわかる仕組みだ。
マネジャーのためのケーススタディブック
内山 力著
同友館発行
1995円(税込)