3200端末をシン・クライアント化
サーバー統合に合わせて,情報端末も刷新することにした。サーバー側だけ内部統制の強化を実施しても意味がなく,端末側の対策とセットで考える必要があった。
これも様々な検討を重ね,シン・クライアントの導入が最適との結論に達した。端末側にアプリケーションやデータを一切保持させず,サーバーに集約できるシステムが管理面で一番有利だからだ。
ただし,鹿児島銀行が使う端末数は合計3200台という膨大な数だった。当時,地方銀行でこれだけの規模のシン・クライアント・システムを導入した例は皆無。挑戦的な取り組みとなった。
操作性テストなどで製品評価
本格的に新システムの設計がスタートしたのは2007年春である。設計の段階で多くの困難に直面したが,中でも端末をシン・クライアント化した際の操作をどのようにするかが問題だった。シン・クライアント化したことで操作性が低下するのは業務効率の悪化を招くので許されない。従来のパソコンと同じ感覚で違和感なく使えることが目標だった。
そこで,複数のシン・クライアント製品を持ち込み,性能のベンチマーク・テストや負荷テストのほか,操作性テストを実施した。操作性テストでは,実際の行員に操作してもらい,使いやすさを評価してもらった。
このように各種テストに時間と手間をかけ,最終的にはAPIラッピング方式 のシン・クライアント製品を導入することに決めた。
その後,ブレード・サーバーやシン・クライアント・サーバーの導入,既存アプリケーションの移行,既存パソコンの内部にあるデータのファイル・サーバーへの移行など,様々な作業を実施した。08年4月から一部業務システムと一部部門でシン・クライアントの利用を開始できた。
現在は,既存のシステムとシン・クライアント・システムを並行して使いつつ,徐々にシン・クライアントへの移行を進めている。08年秋までには全行で移行が完了する予定である。
現時点では,突然シン・クライアント・サーバーが停止したり,帳票を印刷できないといったトラブルが時々発生している。現在,完全移行に向けて障害を終息させるようシステムの微調整を進めている。
NTTデータ経営研究所