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写真●音力発電の「発電床」
写真●音力発電の「発電床」
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 「迷惑な騒音や振動をエネルギーに変える技術,これは究極のエコです」---。音力発電は,2008年10月15~17日に開催したITpro EXPO 2008 Autumnの「グリーンITソリューション シアター」でビデオ講演し,振動のエネルギーを利用して発電する「発電床」(写真)を紹介した。

 発電床とは,人の歩行や自動車の走行で発生する振動を利用して発電する“床”だ。床の内部には,圧電素子と呼ばれる結晶がいくつも埋め込まれている。圧電素子は,外力を加えると変形して起電力を発生する性質を持つ。床上を人や自動車が通行し,圧電素子が振動することで電気エネルギーが得られる。

 発電床の開発は2003年にスタートした。2005年当時,体重約60キログラムの人が1秒間に2歩ずつ歩行した場合の発電量はわずか0.01Wだったが,2006年には0.3W,2007年には0.7Wまで向上した。床の素材を工夫し,1つの圧電素子に力が加わると床面全体が振動するように設計したことで,発電効率が格段に向上したという。

首都高速の橋のイルミネーションで一部実用化済み

 現在,首都高速道路・中央環状線の荒川に架かる五色桜大橋のイルミネーションに,発電床で作られた電力が利用されている。発電床は橋の裏側に取り付けられており,108個のLED照明のうち1個分の電力をまかなっているという。同社は今後,「108個すべてのLED照明の電力を供給できるように,発電床の発電効率を高めてゆきたい」という。

 また,同社は2008年12月に東京都渋谷区のハチ公前で発電床を使ったクリスマス・イベントを予定しており,現在スポンサーを募集中だ。

 発電床の技術を,より小型な製品に応用する試みも始まっている。同社は,2008年中に発電床と同様の仕組みで発電する「振力電池」のチップ化を計画している。振力電池を応用した製品の1つとして,リモコンのボタンを押した力で発電する「振力リモコン」を紹介した。同社は,2010年には工業用に,2012年には一般家庭向けに,振力電池の製品化を検討しているという。