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写真●澁谷 裕以氏 東京海上日動火災保険 IT企画部部長兼企画室長
写真●澁谷 裕以氏 東京海上日動火災保険 IT企画部部長兼企画室長
(写真:佐藤 久)

 当社は、約80社のITベンダーに、システム開発や運用・保守を依頼している。10年以上付き合っているITベンダーも多い。こうなっているのは、我々がITベンダーを選ぶ際に、長期間付き合えるだけのスキルや体力を備えているかどうかを見極めているからだ。

 ユーザー企業がITベンダーと信頼関係を築くことは容易ではなく、それなりに時間がかかる。こちらのシステム事情や業務内容、業務プロセスなどを熟知してもらわなければならない。我々のプロジェクトの進め方や納期に対する考え方、品質基準などについても、実務を通じて理解してもらう必要がある。

 当社が求めることは数多く、きついと感じているかもしれないが、やり抜いているITベンダーは実在する。当社に言われた通りに作業するのではなく、こちらが迷っていれば的確な助言をしてくれるのだ。

 そうならないように努力しているのだが、こちらのシステム化の要求があいまいな場合もある。こうした場合、優れたITベンダーは我々と対話しながら、適切な方向に導いてくれる。

 「この目標を達成したいのであれば、今回は新しいシステムを構築する必要はないのではないでしょうか。既存のシステムの機能を追加・変更すれば済むと思います」。このような提案をもらうこともある。作れと言われたから作ります、ではないのだ。

 パートナーとして信頼しているITベンダーは、都合の悪い情報を隠さない。システム構築プロジェクトの進捗が遅れ気味である場合、すぐさまアラートを出す。遅れを取り戻すために、先方と我々がすべきことを進言してくる。

 信頼できるパートナー企業が多ければ多いほど、我々の情報化のスピードが高まり、経営に貢献できることになる。このために当社は5年前から、ITベンダーの仕事ぶりを1年ごとに6段階で評価する制度を導入した。

 開発を委託しているITベンダーに対しては、システム化の提案力やプログラムの品質、プロジェクトマネジメントスキルなどを見る。運用・保守を任せている企業については、トラブルの発生頻度や障害復旧時間など定量的に評価している。

 ITベンダーに頑張れというだけでは、互いに緊張感を保てないと思う。それで“通信簿”を付けることにした。

 一時的に良好な関係を築くことができても、営業担当者やエンジニアが交代したら、ITベンダーのサービスレベルが落ちてしまうこともある。こうした事態を未然に防ぐためには、ユーザー企業は自助努力する必要がある。

 評価制度の一環で、成績の良かったITベンダーを表彰している。ITベンダーの多くが、最高のSランクを目指していることもあり、システム成果物の品質やコストパフォーマンスは確実に上がってきた。

 だが課題もある。平均的な評価に満足してしまう企業があるのだ。評価が上がれば、任せる仕事の量を増やしたいと思うものだが、気概が感じられない。ITベンダーとの付き合い方は本当に難しい。

 残念ながら、評価の低いITベンダーも出てくる。こうしたITベンダーに対しては、当社は改善策を求める。さらに実行したかどうかもチェックする。

 仮に改善効果が出ない場合は、1年程度の付き合いでも、なあなあで仕事を任せない。厳しいが、“即退場”ということもある。(談)