PR

 ソフトバンクモバイルは他の携帯電話事業者に先駆けて,2006年10月に新スーパーボーナスを導入した。割賦販売で多くの利用者を集めたが,2年間の利用が前提となるため,買い替えサイクルは長期化した。携帯電話の買い替え台数が落ちている中,打開策はあるのか。元NEC取締役でパソコン業界から携帯電話業界へ転進,現在は営業・マーケティングを統括する富田副社長に話を聞いた。

割賦販売によって買い替えサイクルが長期化している。

ソフトバンクモバイル 営業・マーケティング統括 取締役副社長 富田克一氏(撮影は2006年8月)
ソフトバンクモバイル 営業・マーケティング統括 取締役副社長 富田克一氏(撮影は2006年8月)

 確かに長期化しているが,購入から2年が経過したら,再び買い替えの時期になる。新スーパーボーナスは2006年10月に導入したため,現在のソフトバンクは我慢の時期。2年が経過すれば,最初に割賦の契約した方が購入するようになるだろう。

 他社がチャンスとして利用者を奪う策を打ってくるかもしれない。もちろん,我々の中で機種変更したほうがいいというメリットをアピールしていく。利用料金では,今でも負けることはないと考えている。数をしっかりとどめることが,この秋冬商戦の重点項目だ。

販売店の数を増やすなど販売を強化する理由は。

 以前はほかの携帯電話事業者と比べて,店舗数が十分でなかった。極端に言うと,カウンター(窓口)の数が他社の半分しかなかった。そのため,手続きをする際の待ち時間が長くなる傾向があった。そこで,昨年度は一生懸命に店を増やした。2007年4月の時点では約6000カウンターだったが,1万カウンターを目標として,現在まで増やしてきた。ほかの事業者も販売店を強化しているようだが,新しい料金体系を導入して説明が多くなったことと,既存顧客を囲い込みたいという意図があるのではないか。

 現在は,純増ナンバー1を長い間継続している。これを実現できている最大の要因はホワイトプランをはじめとした価格面の訴求。次に商品の魅力。カラフルなモデル,AQUOSケータイ,iPhoneと新しいを流れを作ってきた自負はある。テレビのコマーシャルの効果もある。それに加えて,店舗を増やし,お客さんをできるだけ待たせない仕組みを作ったことも寄与しているのではないか。こうした利用者との接点の部分で不備があっては,純増ナンバー1は継続できなかっただろう。今後は,これをさらにどう継続させていくのかに注力していく。

携帯電話が普及し,既に飽和状態と言われる。さらに市場を伸ばす策はあるか。

 現状は個人の利用者が大半を占めており,法人利用の比率は10%程度。この比率を高めていく。商品を強化し,インターネット時代にふさわしい提案をしながら,市場を開拓する。

 法人需要は徐々に増えてきている。よく携帯電話が1億台で,日本の人口が1億数千人だから市場は飽和していると言われる。だが,ビジネスパーソンがパソコンを使う場合を考えると,一般の多くの企業ではオフィスのデスクに1台が置かれている。家に1台あるとすれば,1人に2台は使われている。携帯電話でも1台だけなく,2台目が普及する余地があるだろう。

 これからは,携帯電話や携帯端末がパソコンと同様に企業ネットワークの中に浸透していくだろう。むしろ,パソコンが携帯に置き換わると考えても不思議ではない。画面サイズが大きくなり,機能も向上している。企業内の「もしもし はいはい」を除いた世界に,まだほんの一部だけしか入っていない。それだけに,モバイルインターネットの法人市場は大きな可能性がある。

 動き出したら,急激に流れていくのではないか。パソコンでもDOSからWindowsに移り変わるのは,そんなに時間がかからなかった。

iPhoneのようなインターネットの利用に重点を置いた端末が登場してきた。

 スムーズな操作でWebサイトを閲覧でき,アプリケーションも実行できるiPhoneは,いってみればパソコンだ。私も,以前は出張などの際にパソコンを持ち歩いていたが,今はiPhoneが1台あれば,メールを読むなどある程度の業務ができるので,便利に感じている。

 あとはこの機能を磨き上げていく。iPhoneはソフトウエアをアップデートすることで,機能が向上する。問題点も直していく。そこが従来のケータイと違う。

 販売の前線でも,販売員がこれまでの携帯電話との違いを実感したうえで操作を説明する必要がある。いかに理解してもらうのか。iPhoneは一定の講習を受けた販売員でなければ販売できない仕組みとしているが,単に言葉で説明する研修だけでは十分でないかもしれない。

買い替えサイクルが伸びて,販売台数が減ると,販売代理店の負担が苦しくなるのでは。

 販売店の役割は,単に台数を売るだけでなく,新商品の何がどう違うか,あるいは料金プランを分かりやすく説明する業務が重要になるだろう。iPhoneのような携帯端末は,今後も数多く登場し,進化し続ける。パソコンの世界で,ムーアの法則が2017年で進化が止まると言われている。逆に言えば2017年までは半導体は進化を続けるということだ。

 以前は,世界の英知がパソコンに集中していたが,現在では米IBMも部門を売却したし,ビル・ゲイツも身を引いた。これは時代の流れだ。いまやパソコンは,店頭で説明が必要な商品でなくなってきたが,進化をし続けている携帯端末を売る場合はそうはいかない。

 単に端末と料金の説明で終わるのでは十分ではない。その製品でどんなことができるか。アクセサリー,周辺機器,ソフトのダウンロード,固定のインターネット回線を組み合わせると何が変わるのかを総合的に説明できないといけない。