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 携帯電話の販売代理店の中で,いくつかの企業は総合商社を母体に持っている。総合商社系の販売代理店では大手のテレパーク(三井物産系)とエム・エス・コミュニケーションズ(住友商事・三菱商事系)が2008年10月1日に対等合併し,新会社のティーガイアを設立した。合併によって何を目指すのか。宮崎重則・代表取締役社長執行役員に話を聞いた。

代理店同士の合併の狙いは。

ティーガイア 代表取締役社長執行役員 宮崎重則氏
ティーガイア 代表取締役社長執行役員 宮崎重則氏

 過去,携帯電話の販売が2けたの勢いで伸びていた時代に,普及を促進したい事業者が,販売代理店に対する手数料を厚く出していた時代があった。現在は,普及台数が1億台を超えた。もはや,従来以上の手厚い手数料は望めない。モバイルビジネス研究会の報告書によって通信料と手数料の分離モデルが導入され,通信料が下がれば,事業者の収入も下がっていく。こうなることは数年前から分かっていた。

 そうした状況の中で,どう業態を伸ばすか。私が社長を務めていたテレパークとしては,より磐石な体制を築きたかった。そんなときに,エム・エス・コミュニケーションズも同じ考えを持っていた。2007年末からトップ同士で話し合い,対等合併ができるならやりましょうと決めた。対等なら,互いの従業員が混乱しないというメリットもある。株主比率の調整などで苦心をしたが,短期間で複雑な合併の契約を成立させた。在庫管理の効率化などを進め,端末1台あたりの販売コストを削減。シェア拡大を収益につなげる。

 全国で展開している広域代理店は,全国で10数社~20社ある。地域の小さい会社も含めれば携帯電話の販売代理店は100社以上。その中でトップ同士が合併し,それなりの影響力があると考えている。ティーガイアの年間の販売台数は約750万台の見通しだ。

シェア拡大を継続するのか。

 合併後のシェアは15~16%で,現状では,ジャイアントというほどには至らない。まずは2社の統合を安定させる。業界内の統廃合が加速することは間違いないだろうが,積極的にさらなる合併を進めるつもりはない。我々とぜひ一緒にやりたいというところがあれば,その時点で考える。

今後の伸びが期待できる分野は。

 携帯電話の普及台数は1億台以上と言われるが,そのうちの法人需要は10%,まだ1000万台ほどしかない。これは2000万~3000万台に伸ばせると考えている。これからは,企業が情報漏えいを防止するため,携帯電話もパソコンと同様の管理体制を取ると見ているからだ。

 情報漏えいを防ぐために,パソコンの管理体制を強化している企業は多いが,携帯電話はそれほど厳密に管理されていない。コスト削減のため,仕事の連絡に個人の携帯電話を使っているというケースも多いはずだ。情報漏えいを防ぐという観点からは,このような利用形態は“グレー”だ。パソコンでは業務用と個人用で使い分けるように,将来は携帯も使い分ける時代になるだろう。

 従来は通話料金が月額数千円もしたが,現在では月額980円と低価格になっており,企業も導入しやすいはずだ。母体である商社の協力を得ながら,法人需要を拡大していく。

ティーガイアが目指す方向性は。

 既存の携帯販売のほかにも新しい事業の柱を立ち上げたい。現在,コンビニエンスストアで携帯電話の通話料金のほかiTunes,Amazon,Wiiポイントなどの決済に利用できるプリペイドサービスを実施しているが,これを発展させる。

 海外展開も模索する。海外の携帯電話事業者と組み,仕入れ,梱包,搬送,メンテナンスなどすべてを請け負うフルフィルメント・カンパニーとしての役割を担う。日本でもいずれプラットフォームが豹変し,海外のようにSIMロックを外す(SIMロック・フリー)という流れになるだろう。そうした,将来に向けての販売モデルの変化も注視していく。