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 壁面緑化などのヒートアイランド対策をライフサイクルアセスメント(LCA)で比較した研究が発表された。壁面緑化は土台にステンレスを使うので、CO2削減効果に比べて環境負荷が高いことが浮き彫りとなった。

 打ち水や緑のカーテンなど、今年も夏の暑さをしのぐために、各地で様々な工夫が見られた。とはいえ、都市部で起きるヒートアイランド現象には決定的な解決策が見つからず、建物によって思い思いの対策を打ってきたのが現状だ。

 しかし、それらの対策がどのような環境影響を及ぼしているかについてはあまり知られていない。

 産業技術総合研究所・社会とLCA研究グループの玄地裕グループ長は、「ヒートアイランド対策といえば夏の効果ばかりが注目され、地球温暖化対策と切り離して論じられているのはおかしい」と感じ、施工面積当たりの年換算CO2排出量を基に、5種類のヒートアイランド対策を比較研究した。

通年で高反射塗料は効果薄

 その5種類とは、下のグラフで示した光触媒コーティング、高反射塗料(屋上)、同(側壁)、屋上緑化と壁面緑化だ。研究では、東京都中央区日本橋付近の区画状況と、同じ場所の2002年6月から1年間の実測気温データを用いて評価した。評価では、製造・運用段階と建物の空調使用段階の2パターンでCO2 排出増減量を測定し、合計のLCCO2(ライフサイクルCO2)を求めた。

 その結果、高反射塗料(屋上)が最も気温低減効果が高く、夏の冷房需要を大幅に下げられる。しかし、冬も熱を反射してしまうために寒く、暖房需要が大幅に増えてしまうことがわかった。

図●ヒートアイランド対策のCO2排出量比較
図●ヒートアイランド対策のCO2排出量比較
出所/産業技術総合研究所
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 通年して評価すると、夏の電力削減よりも冬に生じる電力需要の増加の方がわずかに大きい。高反射塗料はコストが低いからと使われることが多いが、採用には注意が必要だ。

 製造・運用段階では、光触媒、屋上緑化、壁面緑化の順にCO2排出量が大きい。なかでも、壁面緑化はビル壁面などの高所に設置するため、ボルトを使って頑丈に固定する必要がある。その土台となるステンレスの環境負荷が高い割に空調による負荷を減らせないため、全体として最もLCCO2が高い結果になった。

 屋上緑化資材最大手の東邦レオ(大阪市)によれば、「壁面緑化を注文する企業も、環境配慮より宣伝広告としての効果を求めることが多い」という。同社は2階建てなど低い建物ならば、より簡単に取り付けられる、スチール製の土台を使った壁面緑化も販売し始めた。

 2005年以降、屋上緑化と壁面緑化は急激にその設置数を伸ばしてきたが、これからは既存の建物への設置や、緑化の修繕・更新を必要とする建物も少なくない。

 今後はどのようなヒートアイランド対策を講ずるべきか、初期コストだけでなくLCCO2のバランスも考えた導入が重要になるだろう。