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 新会社を創っていく時、創業者は何を考え、どう行動するのだろうか。会社のビジョンや社名の決定、資本金の準備、社員採用、ビジネスモデルや管理体制の確立、オフィスと情報システムの整備など、やるべきことはたくさんある。「ビジネスとテクノロジーのアグリゲーター」という新コンセプトの企業、シグマクシスを2008年5月に設立した倉重英樹が、10月からの本格始業に向けて日々思うことや活動の様子を、写真とともに綴っていく。

 今回のテーマは、健康維持である。新会社を創ってビジネスを進める話と健康の話はあまり関係がないように見えるかもしれないが、そんなことはまったくない。経営トップ自身の健康管理は、組織運営や企業経営において欠かすことのできない重要な要素だし、それを意識して日々努力している経営者はとても多い。そもそもスポーツの世界であろうが、ビジネスの世界であろうが、プロフェッショナルには自分を常にベストコンディションに置くための厳しい自己管理が求められる。リーダーのポジションにいる人間はなおさらだ。

 私は今、投資会社のRHJインターナショナル(RHJI)ジャパンの会長と、新会社シグマクシスのCEO(最高経営責任者)を兼務している。2社を預かっている以上、健康にはかなり気を配っている。本欄に掲載したこれまでのコラムの中でも、「甘いものは大好きだが控えている」とか、「整体に通っている」など、健康に関連する話に軽く触れてきた。先日オープンした新オフィスにも、健康器具を置いたコーナーを作った(「【8】オフィスの「場所と空間」をデザイン」を参照)。

 「経営者になる人は、もともと体力がある」と思う人もおられるかもしれないが、強靭な体力を生まれながらに持っている人だとしても、何もしないでいては体力と健康を維持できない。経営に携わる層の方たちと話をすると、どなたも年齢に関係なく、自らの健康管理に日々取り組んでおられる。逆に、リーダーが体に不安を抱えているようでは、組織やチームが成長に向けて前進している時、あるいは危機を乗り越えようとチャレンジしている時に、メンバーの士気や組織のエネルギーが弱まってしまうだろう。

健康度外視の闘う営業マンだった

 もっとも私が今回書く健康の話を、日本IBMで営業部門を率いていた頃の私を知っているかつての仲間たちが読んだら驚くと思う。実際、昔の同僚に会い、健康維持について話すと、誰もがびっくりした顔をする。というのは、30代から40代の頃、私は絵に描いたような「闘う営業マン」で、健康維持とは無縁の生活を続けていたからだ。

 当時は、夜中の2時くらいまで営業のメンバーを集めて作戦会議を開き、その後、夜の街に飲みに繰り出し、そこでまた仕事の議論を続け、明け方会社に戻り、フリップチャートにくるまって2時間ほど仮眠し、朝一番から仕事を再開していた。土曜も日曜も早朝からお客様やビジネスパートナーとゴルフに行った。こういう日々を当然のように繰り返していた。

 40を過ぎてから、アルコールが体質に合わないことが分かって酒を飲むのは止めたが、生活パターンは上述の通りで、今では見かけなくなったチェリーという重いタバコを1日4箱は空にする、筋金入りのヘビースモーカーを続けていた。

 自らの健康にきちんと意識を向け始めたのは、日本IBMから離れて、PwCコンサルティングに一人で移った50代前半の時からだ。今振り返ると、大きな組織の中の一管理者としてではなく、ゴールに向けて組織を牽引するリーダーとしての自分を意識し始めた頃だった。

 まず、52歳の時からタバコを吸わなくなった。当時のPwCコンサルティングは200名程度の小さな組織で、これをどう変革し、成長させるかというテーマを抱え、経営陣は連日、夜中の2時過ぎまで会議を繰り返していた。私をはじめ経営陣に喫煙者が多かったことから、社長室兼会議室は深夜になると煙幕を張ったようになっていた。