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 日本経済新聞は2008年11月1日付の朝刊一面に「パナソニック,三洋買収 交渉へ」というスクープ記事を掲載した。この記事と11月3日の日経朝刊に掲載された「パナソニック,三洋買収で基本合意」という続報によると,パナソニック(旧・松下電器産業)は三洋電機の株の過半数をTOB(株式公開買い付け)で取得し,2009年4月をメドに三洋を子会社化する。すでに両者の間で大筋合意しており,11月7日に両社長が記者会見で正式に発表する予定だという(当事者である三洋電機は,11月1日に「現在,正式に決まったものはありません」という速報を開示している)。

 パナソニックと言えば,1カ月ほど前の2008年10月1日に,松下電器産業株式会社からパナソニック株式会社に社名を変更したばかり。当日はパナソニックのロゴを描いた垂れ幕がニューヨーク証券取引所に掲げられるなど,あちこちで派手なイベントが開かれ,その模様が新聞・テレビで大々的に報道された。これに合わせて,グループ内のすべての企業が社名の「松下」を「パナソニック」に変更した。パナソニックという国際的ブランドが似合わなそうな旧・松下電工まで,パナソニック電工へと社名を変更している。

 パナソニック・グループの主要子会社である九州松下電器,松下通信工業,松下電送システムはすでに2003年の時点で,パナソニックコミュニケーションズ,パナソニックモバイルコミュニケーションズへと再編済み。したがって,先月の10月1日をもって,同グループ内で社名に「松下」が付いた企業はなくなったことになる。

 報道を見る限り,三洋電機の買収完了後も「三洋」というブランドは残ることになりそうだ。社名についても,当面は「三洋電機」のままとなる可能性が高そうだ。ただし,旧・松下電工までパナソニック電工になったことを考えると,何年か後には,三洋電機が「パナソニック三洋」に変わらないとは言い切れない。

 ITproをはじめ,ニュース・メディアではWeb,紙を問わず,タイトルを一定の文字数におさめるために,記事タイトルに社名の略称を使うことが多い。三洋は社名の存続を希望しているらしいが,「パナソニック三洋」という社名なら,記事タイトルにはこれまでどおり「三洋」という略称を使うことになるはずだ。

 この「三洋」は比較的スンナリ略称が決まる例だが,パナソニック・グループのほかの会社では,社名変更でちょっと悩ましくなったものもある。例えば,「松下電工」はこれまでなら略称を使わず,そのまま「松下電工」と書いていたが,「パナソニック電工」では8文字にもなるので何か略称を考えたい。しかし,「パナ電工」ではちょっと座りが悪い気がする。実際,先月開催されたITpro EXPO 2008 Autumn展示会では,旧・松下電工の子会社であるパナソニック電工インフォメーションシステムズが出展しており,そのニュースをアップするとき,「パナソニック電工」部分の略称が思いつかず,結局,「パナソニック電工IS」にしてしまった(関連記事)。

 パナソニック・グループの主要子会社で最も社名が長いパナソニックモバイルコミュニケーションズの場合,ITproの過去記事タイトルで確認すると,略称として「パナソニック」「松下子会社」などが使用されている。このうち「パナソニック」は10月1日以降,旧・松下電器産業そのものを指すので,ちょっと使いにくい。「松下子会社」は10月以降は「パナソニック子会社」になるが,それならいっそのこと1文字増やして「パナソニックモバイル」としたほうが,企業を特定できるので優れている気がする。

 念のためにお伝えしておくと,記事本文では企業名の初出個所で正しい名称をきちんと書くことになっているので,本文に目を通していただければ,どの企業についての記事なのかは,はっきり分かることになっている。正しい名称とは,主要企業について日経グループ全体で決めているもので,必ずしも登記上の社名ではない。例えば,「日本電気」は「NEC」,「郵便局」はそれだけだと社名だと分かりにくいので「郵便局会社」と表記するなどのルールが決められている。

 ただし,記事タイトルに使う社名の略称まで,上意下達で一律のルールが決められているわけではない。そこで,編集部ごとに「これがいいんじゃないか」というゆるい形で略称が統一されていくことになる。読者の皆さんからは「そんないい加減な」と怒られるかもしれないが,媒体ごとに記事タイトルに許される文字数の上限が異なることを考えると,ある程度の違いはご勘弁いただきたい。筆者自身は違和感があるが,携帯電話の小さい画面へのニュース配信を前提とする媒体ならば,パナソニックをパナ,パナソニックモバイルコミュニケーションズをパナモバと省略することが,ひょっとして“標準”になる可能性もある。