Gartner,Inc.
ジャッキー・フェン VP兼ガートナーフェロー
中野 長昌 マネージングVP
クラウドコンピューティング、グリーンIT、ソーシャルネットワーキング――。IT業界では毎年、様々な先進テクノロジが生まれる。新しく登場したテクノロジはまずは過度にもてはやされる。その後、熱狂が冷める時期を経て、最後に市場における意義や役割が正しく理解される。
こうした成熟過程と市場に及ぼす影響をガートナーは「ハイプサイクル」と呼ぶ手法で分析する(表)。
そこでハイプサイクルの手法で27の先進テクノロジを分析してみた。八つのテクノロジを「ビジネスを変える影響力を持ち、今後10年にわたりテクノロジ・プランナーが導入を真剣に検討すべきもの」と位置付けた。(1)Web 2.0、(2)クラウドコンピューティング、(3)パブリックな仮想世界、(4)サービス指向アーキテクチャ(SOA)、(5)三次元プリンタ、(6)コンテキスト・デリバリ・アーキテクチャ、(7)RFID(ケース/パレット)、(8)モバイルロボット――である(図)。
このうちWeb2.0は現在ハイプサイクルの「幻滅期」にある。だが、企業がそのテクノロジと利用環境の両方で経験を積み重ね成功を収めていくことで、2年以内にビジネスを変容させる影響力を発揮するようになるだろう。
クラウドコンピューティングと現在「啓蒙活動期」にあるSOAは、2010~2013年にITの役割と能力を根底から変える力を持つようになる。
セカンドライフに代表されるパブリックな仮想世界は2007年に「過度な期待のピーク期」を迎えて以降、幻滅期で低迷している。だが、共通の興味を持つグループを形成・支援する重要なメディアチャネルの代表格として長期的には力を発揮するだろう。