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 米Microsoftは,IT業界の新勢力である米Googleに戦いを挑んでいるものの,なかなかその成果を出せないでいる。躍起になっているMicrosoftを冷めた目で見る人もいるだろうが,同社はプライドのためだけにGoogleを打ち負かそうという訳でない。生き残りをかけて挑戦しているのだ。Googleの検索サービスを利用する人が,Microsoftの検索サービスを利用する人の6倍もいることから,Microsoftに残された選択肢は一つしかない。失われたシェアを取り戻すために,Googleよりも多くの資金を投入する必要がある。

 戦略的には大したことはないが,具体的な取り組みの内容は多岐にわたる。それらの取り組みのなかで最も知られていないのは,検索サービス「Live Search」利用者向けのキャッシュバック・プログラムだろう。GoogleでなくMicrosoftの検索サービスを使ったユーザーに対し,現金やポイントを提供するというものだ。Live Search経由で商品を購入した消費者に文字通りキャッシュバックする「Live Search cashback」と,商品と交換可能な「チケット」(ポイント)を贈る「SearchPerks」の2種類のメニューがある。後者のチケットは,音楽ダウンロード権や航空会社のマイレージなどに交換できる(関連記事:「Live Search」のキャッシュバック・プログラム,利用者が増加Microsoft,「Live Search」利用促進ポイント・プログラムを開始)。

政治活動にも力を入れるMicrosoft

 Microsoftは,ロビー活動にもGoogle以上の資金を投じている。10年間に及んだ独占禁止法(独禁法)違反訴訟のおかげで,Microsoftはロビー活動をすっかりお手の物にしてまった。Microsoftがロビー活動につぎ込んだ金額は2008年第3四半期だけで200万ドルを超えたが,これはGoogleが2008年1~9月にかけた額とほぼ等しい。Microsoftのロビー活動費は,2008年1~9月が700万ドルで,2007年が900万ドルだった。なお,Googleは2007年全体でも150万ドルしかかけていない。

 このMicrosoftのロビー活動は,間違いなく実を結んだといえるだろう。米司法省(DOJ)が,Googleによるライバル米Yahoo!の救済計画を,まさに独禁法違反の恐れがあるとして断念させたのである(関連記事:GoogleとYahoo!が検索広告事業の提携を解消,当局の懸念を払しょくできず)。Googleは2007年にオンライン広告市場の支配体制を確実なものにしようと米DoubleClickを買収したときには,DOJから独禁法上の指摘を受けなかった(関連記事:Google,EUの譲歩でDoubleClick買収を完了)。

 ロビー活動と似た使い道といえるが,政治献金でもMicrosoftはGoogleを大きく上回った。2008年の大統領選挙戦でGoogleの献金した額は28万2000ドルである。これは,Microsoftの献金額である170万ドルと比べると非常に少ない。今後,議員はどちらの会社の言い分に耳を傾ける機会を増やすかは明白だろう。

 それ以外にも,MicrosoftはGoogleの結ぼうとした契約をご破算にする試みにも多くのコストをかけ,かなりの確率で成功させてきた。米国の携帯電話キャリアVerizon Wirelessが無線端末向けWeb検索サービス分野でGoogleとの提携計画を発表したところ,そこに突如Microsoftが割り込んだ。GoogleはVerizonに5年間で最大6億5000万ドルもたらすであろう条件を提示していたが,Microsoftはその2倍の支払いを保証した。そのうえ,同期間にVerizonの販売する「Windows Mobile」対応端末を増やす取り組みにも取り組む。複数の報道によると,同社は約束を果たすために,Windows Mobileのソフトウエアを原則として無償提供するという。

 ここで紹介したいろいろな取り組みが,MicrosoftのWeb検索市場におけるシェア回復につながるのだろうか。今のところ効果は現れていない。同社はクラウド・コンピューティングを発表はしたが,まだ時間稼ぎをする必要もある(関連記事:「Azureはクラウド時代のプラットフォーム」、MSのバルマーCEOが力説)。先日の説明会で指摘した通り,クラウド・コンピューティングこそ同社が活動する場なのだ。同社によると,ユーザーがインターネット検索に費やす時間は総オンライン活動時間のわずか3%に過ぎないという。そこで,今後も検索サービスに対する取り組みは続けるものの,残りの97%も重視する方針をとる。