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 以前「記者の眼」の欄で,国立情報学研究所(NII)のトップエスイープロジェクトを紹介した(トップエスイープロジェクトをご存じですか)。トップエスイープロジェクトは,学生ではなく,社会人のITエンジニアを対象に最先端のツールや技術を教える教育プログラムである。

 トップエスイープロジェクトと同じように,ITエンジニアを対象にITの授業を提供する教育プログラムは,実はほかにもある。今回はその一つとして,産業技術大学院大学の「情報アーキテクト専攻」を紹介したい。

 産業技術大学院大学は2006年4月に新設された専門職大学院の一つで,首都大学東京の「兄弟大学」の位置づけになる。同大学院大学の情報アーキテクト専攻は,最初から社会人を主な対象としており,平日の授業は社会人が受講しやすいように午後6時半に始まる。実際,生徒の9割以上が社会人のITエンジニアで,最も多いのは30歳前後のエンジニアだそうだ。所属する企業は,自社内で研修制度を整備できない中小企業が多いという。

 情報アーキテクト専攻の標準修業年限は2年。40単位を取得して卒業すると,修士号を取得できる。2年目の授業はPBL(Project Based Learning)が中心だ。教授は,ほとんどが大手コンピュータメーカー出身者である。

 授業の特徴は,プロジェクトマネジメントや業務に近い上流工程(概念データモデリングやビジネスプロセスマネジメントなど)が充実している点。将来のキャリアに合わせて,プロジェクトマネジメント,セキュリティ,ネットワーク,データベース,ソフトウェア開発,CIO・マネジメントという6つのモデルコースを用意しており,それぞれのコースごとに受講推奨科目を設定している。受講するITエンジニアは,おおむねこのモデルコースを参考にして科目を選んでいるという。授業料は年間52万800円。決して安い金額ではないが,ほとんどのITエンジニアは自腹で授業料を払っているそうだ。

 ITエンジニアが自発的にスキルアップするための手段としては,資格の取得や社内研修の受講,教育ベンダーが提供する研修の受講,勉強会への参加など,様々ある。多くの選択肢がある中で,産業技術大学院大学のような大学院に入学するメリットは何か,と言えば,やはりカリキュラムに沿って,体系的な知識が身に付くことだろう。修士号を取得できることもエンジニアにとっては大きな魅力だ。知名度はまだまだ低いが,スキルアップの一つの手段として検討する価値はある。もっとも2年間定時に授業を受けるためには,企業や所属長の承認が不可欠にはなるが。