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 スカパーJSATホールディングス(スカパーJSAT HD)が2008年度中間期(2008年4~9月期)の連結決算で,88億円を超える特別損失を計上した。保有していたTBS株や海外企業の仕組債の価値が下落し,投資有価証券評価損が83億5700万円に達したことが主な要因である。その結果,中間期の純利益は前年同期に比べて96.2%減少し,3億900万円に落ち込んだ。

 特別損失を計上する原因となったTBS株は,業務提携先や自社の事業を支援してくれる企業の株を持つという方針に沿って購入した。TBSとは株を相互に持ち合ってきたという。もう一つの原因となった仕組債は,スカイパーフェクト・コミュニケーションズ(現スカパーJSAT)が自社株を上場した6年前に,上場益を使って購入した。仕組債とは,オプションやスワップといった金融技術を使って設計された金融商品である。為替レートや市場の動向によって利率や償還額が変動し,購入すると途中で解約できないといった条件を付けて販売されることが多い。スカイパーフェクトが6年前に購入したときの仕組債の格付けは「AA」であり,リスクが低いと判断して購入したという。

 特別損失の計上を受けてスカパーJSAT HDの秋山政徳社長は,「運用の社内ルールを作った。これからは,為替リスクや投資リスクが少なく,短期で現金に換えられるものに限定する」という。金融投資はできるだけ控え,多チャンネル放送事業や通信衛星事業などの本業を強化する号令をかけている。

 実際に2008年度上期も,スカパーJSAT HDの本業は順調だった。多チャンネル放送事業(東経124・128度CS放送「スカパー!」や東経110度CS放送「スカパー!e2」,光ファイバーを利用したRF方式の「スカパー!光」など)の加入者が増えたことや,通信衛星事業で三菱グループの宇宙通信(SCC)を買収したことなどで,前年同期に比べて増収増益を達成している。

 「サブプライムショック」に端を発する世界的な金融危機の悪影響が日本の実体経済にも波及し,景気後退が加速している。しかし秋山社長は,「本業である多チャンネル放送事業も通信衛星事業も不況に強い。また,海外からの番組の購入や衛星の調達において,円高はプラスに働くという。さらに,不況になると消費者は「安・近・短」を志向し,テレビを見てくれる時間が増えると予想している。特損の計上という「災い」を,本業の強化という「福」に転じることができるかが,課題になる。