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ITR シニア・アナリスト
生熊 清司

 2008年12月1日,ITRとITproが共同で企画した「グリーンIT簡易診断ツール」が,ITpro のグリーンITサイトにオープンする。自社のグリーンITの取り組みがどのレベルにあるかを知りたい企業には,ぜひ活用していただきたいと考えている。

 本特集では,「グリーンIT簡易診断ツール」を企画した背景,グリーンIT度の評価方法,診断ツールの活用方法,プレ調査の結果などについて解説していく。

まず,自社の取り組み状況を知ることから始める

 企業の社会的責任が厳しく問われる現在,企業はこれまで以上に環境問題に取り組むことが求められようになってきた。特に地球温暖化対策への具体的な対応が求められており,最近では,各企業も環境保護と経済活動のバランスを取りながら,長期的に成長することを意味する「持続可能な発展」を自社の企業理念に加える企業が増えている。

 このような状況を受けてITに対しても環境対策が重要視されるようになってきた。IT機器の消費電力の抑制,各種の環境規制への対応,さらには環境マネジメントへのITの活用など,「グリーンIT」は今年になって急速に注目されるようになってきた。

図1●IT/IS部門で取り組む課題にグリーンITが含まれているか
図1●IT/IS部門で取り組む課題にグリーンITが含まれているか
ITRが2008年1月に実施したユーザー調査の結果「IT/IS部門が取り組むべきテーマとしてグリーンITが含まれている」と回答した企業は,有効回答414件の4割未満に留まった。出典:ITR。

 しかし,ITRが2008年1月に実施したユーザー調査では,「IT/IS(情報システム)部門が取り組むべきテーマとしてグリーンITが含まれているか」を尋ねた結果,「含まれている」と回答した企業は有効回答414件の4割未満に留まった(図1)。さらに,「グリーンITに対する計画を定め,計画に従って対策を講じている」と回答した企業は1割しかなかった。

 また,「グリーンITへの取り組みを進める上での課題」について尋ねたところ,「どのレベルまで取り組むかの深度が不明確」,「投資対効果が不明確」,「取り組んでいくべき範囲・内容が不明確」の3つの選択枝への回答がいずれも4割を超えた。このことから,企業においては,環境対策やCSRの一環としてIT分野に関しても何らかの対策や改善が必要であると思っていても,具体的な方法やステップが分らない状況にあることが伺えた(図2)。

 ITRではユーザー企業IT/IS部門を中心としたクライアントからITに関する様々な質問を受けているが,その中のグリーンITに関する質問の多くは,IT機器に関する技術的なものよりも,「他の企業ではグリーンITをどの程度実施しているのか」といった実施状況に関する質問や,「IT/IS部門として何をどのように行うべきなのか」といったグリーンITの実施プロセスに関するものが多く寄せられた。

 このような状況を踏まえて,企業がグリーンITの実施に着手し,継続的に運営していくためには,単にどのサーバーの電力効率が高いとか,仮想化技術は省電力化に有効なのかといった技術的な情報だけでなく,運営プロセスや体制といった総合的な要素から自社はどのような状況にあるのかを知ることが必要であると考えた。

 今回,ITRはITproと共同で「グリーンIT簡易診断」を企画した。その狙いは,自社のグリーンITの取り組み状況を客観視したいというクライアント,あるいは読者のニーズに答え,ユーザー企業がグリーンITを推進する場合に少しでも役に立てる情報提供が出来ればと幸いであると考えたからである。

図2●グリーンITへの取り組みを進める上での課題
図2●グリーンITへの取り組みを進める上での課題
「どのレベルまで取り組むかの深度が不明確」,「投資対効果が不明確」,「取り組んでいくべき範囲・内容が不明確」の3つの選択枝への回答がいずれも4割を超えた。出典:ITR。

企業のグリーンIT度を評価する5つの視点

 「グリーンIT簡易診断」は,企業のグリーンIT度を評価するために,「コミットメント」「実施度」「運営体制」「運用プロセス」「コストと効果」の5つの視点による合計31問の設問からなる簡易診断調査である。ITRでは,これら5つの視点は企業がグリーンITを推進する上で重用な要素軸と捉えている。

 5つの視点には「運用プロセス」や「コストと効果」,さらに設問にはIT/IS部門の活動におけるプロセスの定義や文書化,監査や効果測定などを実施しているかといった,ITの推進全般に関係するものも含まれている。これは,グリーンITの推進は企業のIT/IS部門にとって,何か特別なことを新たに始めるものではなく,これまで行ってきたIT基盤の整備やIT利用の推進といった活動に,グリーンITつまり省エネルギーという新たな視点を加えることと考えるからである。

 したがって,図3に示したように,グリーンITを推進する場合もこれまでの活動と同様に,明確な方針を掲げ,それに基づき評価指標を決定する。その評価指標により自社の現状を把握したうえで目標に落とし込み,その目標を達成するための施策と計画を明確にして実行する。さらに活動をモニタリングし,一定期間をおいて目標の達成状況を評価し,結果を次の目標に反映するというように,継続的にレベルアップを図っていけるような回帰的なプロセスを踏むことが重要である。

図3●グリーンITを推進するためのプロセス
図3●グリーンITを推進するためのプロセス
グリーンITとは,従来行ってきたIT基盤の整備やIT利用の推進といった活動に,省エネルギーという新たな視点を加えること。出典:ITR。

 次回は,各視点ごとに評価のポイントについて解説していく。

生熊 清司(いくま せいじ)
ITR シニア・アナリスト
外資系コンピュータメーカ-のシステム・エンジニアとしてDBMS製品を中心としたシステム提案活動,製品マーケティングとして製品の日本語化プロジェクトなどの経験後,コグノス社の日本法人の立ち上げにエンジニアリング・マネジャーとして参加。1994年より日本オラクルにてUnix版Oracle7プロダクト・マネジャーとしてRDBMSを中心に製品マーケティングを担当。パラレルデータベースやデータウェアハウスなどの最新機能を世界に先駆けて紹介し,大規模な企業システムでのOracleのブランド向上に貢献する。その後,コーポレート・マーケティング部門の責任者,アナリスト・リレーション部門の日本代表などを歴任。2006年8月よりアイ・ティ・アール(ITR)にてDBMS,SOAを含むITインフラストラクチャー製品を担当。

※「グリーンIT簡易診断ツール」はこちら