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会議を円滑に進めるためのスキル体系として普及が進みつつあるファシリテーション。うまく適用すればITプロジェクトの運営に恩恵をもたらす、使い勝手の良いスキルでもある。言葉遣いや手順、席の配置を工夫するなど中身は単純だが、多くのリーダーが現場で直面している様々な課題を好転させる効果がある。

西河 誠 Project Facilitation Projectメンバー

イラストレーション:AKIRA
イラストレーション:AKIRA

 多くのビジネスパーソンは会議の進め方が下手だとよくいわれる。役職が上の人間や声の大きい人物に議論の結論が誘導されてしまう。「どう思いますか」と発言を促してもなかなか意見が出てこない。結局会議では結論が出せず、次回の会議に持ち越す―こんなケースが珍しくない。

 こうした状況のなか注目を集めているのが、会議をより生産的なものにするスキル体系「ファシリテーション」である。もともとファシリテーション(facilitaion)は「容易にする」「円滑にする」という意味の言葉で、人と人が交わる様々な会議をスムーズに舵取りするための手法を集め、体系的にまとめたものを指す。ここ2~3年で関連書籍が多数出版され、IT分野の雑誌やWebサイトが取り上げる機会も増えている。言葉自体は知っている人が多いだろう。

開発現場でこそ効果を発揮

 ファシリテーションは会議全般を円滑に進めるためのスキル体系として紹介されることが多いが、ITプロジェクト向けにアレンジして利用することも可能だ。うまく適用すれば、ソフトウエア開発プロジェクトの運営プロセスを円滑に進められる。

 大規模・分業化が進むIT開発現場では、顧客やメンバー同士のコミュニケーションに課題を抱えているケースが少なくない。「プロジェクトメンバーのやる気を引き出したり、協力関係を醸成したりして、プロジェクトをもっと活性化したい」。現場のリーダーやマネジャからは、こうした声がとみに強まっている。

 そもそも技術者は自分の技術力を高め、よりよい仕事をし、顧客に価値を提供したいという欲求を持っている。ところが近年は金銭的な価値や見かけ上の効率性ばかりが求められ、技術者として質の高い仕事時間を過ごすという視点が軽視されがちだ。

 こうした問題意識から、筆者らはソフト開発プロジェクトにおけるファシリテーションのあり方を整備するため、「プロジェクトファシリテーション」に関するコミュニティを結成し活動している。メンバーのコミュニケーションを活発にする、協力関係を密にする、メンバーに必要なタイミングで必要な行動を促進するなどによってプロジェクトのリスクを低減し、より豊かで生産的なプロジェクトを実現するのが狙いだ。いくつかの実プロジェクトに筆者らのアプローチを適用し、効果も確認している。

 筆者が所属企業で実践してきた内容や、筆者が参加しているコミュニティにおける取り組みを基に、ITプロジェクトに効くファシリテーションの代表的な手法を紹介しよう。「その程度のやり方で効果が出るのか」と疑問に思われるかもしれないが、武道の「型」さながら、まずはこの手法に従って実践してみてほしい。動作が身につくにつれて、当初の先入観を超えた効果を実感できるはずだ。