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日経ソフトウエア 編集長
田島 篤
日経ソフトウエア 編集長 田島 篤

 読者の皆様,ちょっと遅くなりましたが,明けましておめでとうございます。

 ソフトウエア開発の分野では2009年も「いかにしてソフトウエアを効率よく開発して提供するか」に関する仕組みに注目が集まるでしょう。具体的には,2008年に注目を浴びたPaaS(Platform as a Service)と,RIA(Rich Internet ApplicationsあるいはRich Interactive Applications)が,どこまで実際のシステムで使われ始めるのか,言い換えれば,企業システムやエンドユーザー向けのWebサービスとしてどの程度浸透していくのかが焦点の一つになりそうです。2008年の日経ソフトウエアの誌面を振り返りつつ,2009年の動きを見ていきましょう。

PaaSやRIAはどこまで立ち上がる?

 PaaSは,プラットフォーム(ハードウエアやオペレーティング・システム,開発環境を含むミドルウエア一式)をユーザー自らが用意しなくても比較的手軽にサービスを提供できる仕組みです。

 PaaS関連の昨年の話題を振り返ると,2008年5月には米Googleが,ユーザー登録さえすれば無料で利用できるWebアプリケーション開発/実行環境「Google App Engine」を公開しました。ハードウエアを含むサーバー環境などのプラットフォームはGoogleが提供するものをそのまま利用できるので,アプリケーションの開発者はプログラミングに専念できます。現時点では,日本ではあまりなじみのないPythonというプログラミング言語だけしか使えませんが,今後はJavaといったより一般的なプログラミング言語にも対応する見込みです。日経ソフトウエアにおいても,2009年1月号特集「Google App EngineでWebアプリを公開してみよう」でいち早くその使い方を紹介しました。

 米Microsoftも2008年10月,WindowsベースのWebアプリケーションの開発/実行環境「Windows Azure」を発表しました。Windowsの開発環境や技術が生かせるというメリットは大きいでしょう。2009年内の商用サービス開始を予定しており,日経ソフトウエアでもなるべく早くその実像を紹介できたらと考えています。

 もう一方のRIAは,操作性や表現力の高いアプリケーションを比較的簡単にユーザーに提供できる仕組みです。2007年から2008年にかけては,JavaScriptを使ってWebブラウザ上の画面の書き換えなどを処理するAjaxの利用が進むと同時に,Webブラウザの機能を拡張したりデスクトップ上で直接動作したりしてクライアントの表現力や操作性を高めるソフトウエア,例えばMicrosoftの「Silverlight」や米Adobe Systemsの「AIR」などが登場しました。

 日経ソフトエアにおいては,2008年3月号からの短期集中連載「Silverlightの全貌」で前者を紹介,後者については2008年9月号特集「これから始めるFlash/Flex Builder/Expression」でAIRアプリケーションの開発方法を説明しました。実際のシステムにおけるこれらのソフトウエアの有用性が問われるのが2009年になるでしょう。

基礎知識も忘れずに!

 こうした「いかに効率よくソフトウエアを開発して提供するか」という動きが,Webアプリケーション分野を中心に目立つ一方で,“基礎力”に対する意識も高まっているように思います。

 というのも,取材先や打ち合わせ先から次のような意見をいただくことが多くなったように感じるからです。「統合開発環境やフレームワークを使ってWebアプリケーション開発に携わっている最近の若い技術者は,意外に基本を知らない。ソース・コードをコンパイルしてオブジェクト・コードを生成し,リンカーで実行コードを作成するといった基本的な手順とその裏側にある仕組みが分かっていなかったりする」,「Javaを使ってプログラムを記述しているけれど,オブジェクト指向については知らないようだ」--。

 プログラム開発の生産性を,即戦力として見込む若い技術者に求めるあまり,コンピュータ全般やその構成要素(プロセサ,オペレーティング・システム,データベース管理システムなどのミドルウエア,そしてプログラムそのもの)に対する理解がおろそかになっているケースが増えているのかもしれません。

 日経ソフトウエアにおいては,2008年中に「プログラミングの10大基礎」「必ずわかる!データベース」「APIでイチから学ぶWindowsプログラミングの基本」「プログラマ必修,C言語の基礎」「OSの役割と仕組み」といった特集をお届けして好評をいただきました。プログラミングに関する基礎知識をしっかり身に付ける手助けになるべく,2009年2月号においても特集「プログラミングの基礎キーワード256」をお届けしています。

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 プログラミングを含むコンピュータ全般に関する基礎知識は,普段はあまり必要ないかもしれませんが,システムに不具合が生じたときに適切に対処したり,新しい仕組みが登場したときに中身を理解して有用性を見極めたりするときなどに役立ちます。

 こうした考えから日経ソフトウエアでは,ソフトウエア開発の効率化に関する様々な最新動向をいち早くお届けすると同時に,いつの時代にも通用し得る普遍的な基礎知識についてもわかりやすくお伝えしていきます。

 読者の皆様,本年もどうぞよろしくお願いいたします。