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会社がなくなって困るのは誰ですか?
市川享司氏 パワーアップ研究所 所長
市川享司氏 パワーアップ研究所 所長

 改善活動は,これまで自分たちが綿々と培ってきた仕事のやり方を変えることである。そこには,ある意味で「自己否定」が伴う。

 だから,日ごろから一所懸命にやっていて,自分たちの仕事のやり方に自信を持っている人ほど,改善活動に対して後ろ向きになりがちだ。様々な企業で改善活動のコンサルティングを手掛けてきたが,ITエンジニアの方は特にその傾向が強いと思う。

 一方,改善活動に対して前向きな人は,共通して「今のままではダメだ」という気持ちが根底にある。現状に対して「危機感」を持っているわけだ。だから現状に固執せず,改善活動に積極的に取り組む。

 では,現状に対して「危機感」を持ってもらうにはどうしたらよいか。私は研修で,ITエンジニアの方によくこんな質問をする。

 「想像してみてください。あなたの会社(もしくはシステム部門)がなくなりました。そのとき困っているのは誰ですか。顧客(もしくはユーザー部門)は困っていますか」。

 顧客が困っている,と胸を張って言える人は決して多くない。顧客がほかのITベンダーに乗り換えて,滞りなくシステムを利用しているイメージが容易に浮かぶからである。

 そこでもう一度尋ねる。「会社がなくなって,本当に困っているのは誰ですか。それは,あなたではないですか」と。

 多くの人は,これで気付く。顧客にとっての自分たちの付加価値を高めていかなければならない,という当たり前のことに。そして,自分たちの付加価値を高める手段として,改善活動を前向きにとらえるようになる。