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 米Amazon.com傘下の米Amazon Web Servicesは,仮想マシン・ホスティング・サービス「Amazon EC2」を支えるデータセンターとして欧州拠点の運用を始めた。米国EC2はデータセンター3サイトで耐障害性を高めている。ここに欧州センターが加わったことで,大西洋をまたいだ冗長化が可能になった。欧州EC2の実力はどの程度のものか。仮想マシン利用の手順の違いと,米国EC2と欧州EC2の間,および日本からのスループットを計測した。

 ITproはAmazon EC2のユーザーである。完全従量制で無尽蔵に仮想マシンを使える利点を生かし,EC2上で記事レコメンド・エンジン「Hotate」を動かしている。その過程は「クラウド実践!Amazon EC2」で公開しているが,欧州EC2の利用に際しては別途準備が必要なことが分かった。

アカウント以外は欧州EC2用に再設定が必要

画面●管理ツール「Elasticfox」で見た欧州EC2
画面●管理ツール「Elasticfox」で見た欧州EC2
米国EC2に比べると仮想マシン・イメージの種類が少ない。Windowsは今のところ未対応
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 米国ECを利用する際,Amazon EC2およびS3のアカウント,認証に使う暗号鍵の生成など,仮想マシンを立ち上げるまでにいくつかの準備が必要になる。これらのうち,米国EC2と欧州 EC2で共用できるのはアカウントだけ。仮想マシンへのログインに必要な暗号鍵などは,欧州EC2用に作り直す必要がある(画面)。

 欧州EC2用に暗号鍵を新しく生成する作業は簡単だ。Firefoxのアドオン管理ツール「Elasticfox」で「KeyPairs」タブを選び,右クリックで「create a new keypair」を実行すればよい。

 やっかいなのは,EC2の仮想マシン・イメージ「AMI」の共用ができないこと。米国EC2で利用中のAMIを使って,欧州EC2の仮想マシンを起動しようとしてもエラーになる。

 この制限を回避するには,AMIを構成するファイルを欧州EC2からアクセス可能なS3フォルダにコピーしなければならない。S3は,個人情報の国外への持ち出しを禁じる法規制があるEU各国のユーザー向けに,保存先を欧州データセンターに限定するオプションがある。そこで同オプションを有効にしたフォルダを作成し,米国S3のAMI(実体はファイル群)をコピー。そのファイルを元に,AMIを欧州EC2に登録する。

 有料の高性能ストレージ・オプション「EBS」についても,米国EC2と欧州EC2では共用できない。新たにボリュームを作成した上で,rsyncなどの手段でデータをコピーする。同様に,米国EC2で取得したグローバルIPアドレスを欧州EC2の仮想マシンに割り当てることはできない。IPアドレスは管理面である程度の地域性があるため仕方がないことではあるが,割り当てる仮想マシンを数秒で変更できる「Elastic IP Addresses」機能にしては弾力性がない。