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 第2四半期決算を控え,ソフトバンク周辺が揺れた。「秋にも資金不足に陥るのでは」(業界関係者)といった未確認情報が飛び交い,10月に入って同社の株価が急落していたからだ。

 こうした状況に危機感を持った同社は,当初11月5日に予定していた決算発表を10月29日に前倒し。投資家の不安を招いた要因と見られる旧ボーダフォン買収に伴う1兆円超の借入金の返済スケジュールの説明や,6年ぶりの業績予想開示などで,事態の沈静化を図った。

 会見に臨んだ同社の孫正義社長は,「金融機関と約束したミニマムの返済スケジュールを前倒しできる。10年たたずして借り入れ総額はゼロになり黒字化できる。(財務の健全性について)市場の理解が進むのは時間の問題」と熱弁をふるった。その一方,市場環境の悪化で最大750億円の特別損失を計上する可能性も明らかにした。

 それもあってか会見での孫社長の表情は,いつもとは異なり終始硬いまま。ソフトバンクのある幹部は,「孫さんもさすがに今回の件はこたえたようだ。これだけ株価が下がるとM&Aの恐れも出てくる」と打ち明ける。

 ただ,決算自体は黒字であり,業績予想や悪い材料をさらけ出したことが市場に好意的に受け止められたのか,翌日以降,同社の株価は急反発。

 さらに決算発表の翌日,ソフトバンクモバイルは冬モデルを発表。タッチパネル式の新端末やiPhone 3G用の充電器兼ワンセグ受信機など多くのラインアップをそろえたことで,市場の好感を得たようだ。

 ひとまず経営危機説を押さえ込んだかに見えるソフトバンク。1900万を超える同社の携帯電話加入者も,それが杞憂(きゆう)であって欲しいと望んでいるだろう。