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英BTグループ テクノロジー&イノベーション 日本・韓国担当副社長 ヨン・キム |
欧州に住む人であれば,例えば冷蔵庫の前面に貼ってある“エネルギー消費効率ラベル”のことを知らない人はまずいない。エネルギー消費効率は,ベストのAから最低のGまでに分類され,洗濯機,ドライヤー,エアコン,電球などほとんどの家電製品に使われている。同様に車もランク付けされているが,こちらはCO2削減効率が基準である。パソコンなどのIT関連の製品や設備についてはこれからだが,電力消費量に基準が設定されるのは時間の問題だろう。
この11月19日,欧州連合(EU)は「データ・センターのエネルギーの効率的な使い方に対する指針」という自主規定を発行した。増大するデータ・センターのエネルギー消費に対し,それに関連する環境,経済やエネルギー供給への影響を小さくする,“グリーン化”を目的としている。この規定は欧州連合の地域以外のデータ・センターにとっても大いに参考になるだろう。
英国の「Project 2 Degrees」という民間団体の発表によれば,ITに特化した典型的な組織においては,エネルギー消費の25%はIT関連設備の運用費に当たるという。
こうした事実を知っていれば,データ・センターの平均エネルギーコストが,現在の530万ポンド(約10億6000万円)から5年後に1100万ポンド(約22億円)に膨れ上がるという予測があっても驚くには至らないだろう。企業のIT化はさらに加速し,ビジネスモデルがITを中心に構築されることを考えれば,データ・センターのエネルギーコストの削減は焦眉の急である。
安いコストを求めオフショアが進む?
データ・センターの重要性は,今後ますます増していくだろう。最近では,大企業がITの管理を遠隔地のデータ・センターに任せるようになってきた。自らはビジネスに直結したアプリケーションの開発と管理に集中する方向へと向かっている。
消費者向けの分野でも,ブロードバンド・サービスを提供する英BTのようなインターネット接続事業者が,5Gバイトの無料ストレージ・サービスを提供し,ユーザーが個人のデータをデータ・センター上に蓄積するようになっている。
こうした流れが加速する中で,データ・センターの運営において克服すべき課題が三つほど表面化している。電気と建物,ネットワークのコストである。当然の帰結として,電気や建物,ネットワークのコストが安い国へ,データ・センターの運営をオフショア化する動きが進んでいくだろう。
ただその前に,インターネット上で作った組織や個人に属するデータを他の国に移動可能かどうかを確認する必要がある。これらの作業をスムーズに進めるために,国境を越えてユーザーのデータを保護するグローバルな法的規制が必要になってくるのではないだろうか。英国には既に,個人情報保護の義務を定めた「データ保護法」(Data Protection Act)があるが,他の多くの国ではまだ取り組みが遅れている。
英BTグループ テクノロジー&イノベーション
日本・韓国担当副社長
そんなオバマ氏が米国をこれからどのように引っ張っていくのか気になるところだ。金融危機にイラク・アフガニスタン問題,それに世界的な核拡散,問題は山積みである。