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 今年6月末でビル・ゲイツ会長が経営の一線を退いたマイクロソフトの次世代戦略を,製品や技術,幹部の発言やライバルの動向などあらゆる面から分析している。

 著者はマイクロソフト研究の第一人者。25年以上にわたって同社を追い続けてきた。

 著者ならではの視点が表れていると思えるのが,ゲイツ,バルマーの「次」を担う人材の候補を挙げている第3章だ。世界的に名の知られている2人を継ぐことの難しさは,容易に想像できる。著者は「サービス部門をリードする幹部に賭けて間違いはない」と説く。新たな分散OSとみられる「Midori(ミドリ)」を率いるエリック・ラダー,Liveの基盤開発を率いるデビッド・トレッドウェルなど,日本人にはなじみのない名前が並ぶが,彼らの担当事業に注目すればマイクロソフトの次が見えてくるというわけだ。

 巻末の付録も秀逸。マイクロソフト関係者が記した重要文書の抜粋である。ソフト主体からサービス時代へかじを切ろうとしている同社幹部の考えをうかがい知れる。

 企業研究本は数あれど,ここまで内部に踏み込んだものは珍しい。マイクロソフトの次世代像はもちろん,米国のジャーナリズムの「深さ」も実感できる一冊だ。

マイクロソフト ビル・ゲイツ不在の次の10年

マイクロソフト ビル・ゲイツ不在の次の10年
メアリー・ジョー・フォリー著
翔泳社発行
1764円(税込)