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 Hyper-Vの登場で,Microsoftの仮想化プラットフォームは2008年に成熟期を迎えた。同社の製品群は,パソコンのデスクトップや中小企業(SMB),大企業から大規模なデータセンターまでを網羅するようになった。あと足りなかったのは一元管理機能で,このことは大規模環境で利用するに当たってはとりわけ顕著な問題になっていた。

 仮想化を導入する企業では,仮想マシンと物理マシンが混在する環境の管理や,仮想化リソース割り当ての自動化,レガシー物理サーバーの仮想環境への統合--を実現する手段を求めている。Microsoftの仮想環境管理製品である「Microsoft System Center Virtual Machine Manager 2008(VMM 2008)」の新バージョンは,そうしたニーズに対応するために登場したものだ(編集部注:日本語版の提供は2008年11月4日から開始している)。このVMM 2008の特徴を2回に分けて紹介しよう。

VMwareも含めた仮想環境を統一的に扱えるVMM 2008

 VMM 2008は,仮想化環境用の機能を提供するデータセンター管理サーバー製品だ。レガシーまたはあまり使われていない物理サーバーの仮想マシンへの変換,仮想マシンやそのほかの仮想資産のプロビジョニング/展開/管理,仮想インフラストラクチャの自動最適化などの機能を備える。さらに,ライバル製品であるVMware ESX Serverから仮想マシンを移動させる(VMware仮想マシンから Hyper-V仮想マシンへの変換)ためのバーチャル・ツー・バーチャル(V2V)変換機能も提供する。

 VMM 2008は,Microsoft Virtual Server 2005 R2やWindows Server 2008 Hyper-Vなど,Microsoftのすべての仮想環境サーバー製品をまとめて管理できる。これは多くの人の予想通りだろう。だが,これらのMicrosoft製品だけでなく,ライバルのVMware ESX Serverも管理可能にしたのは,混在環境を運用しているユーザーにとって嬉しい驚きだろう。

 先日の説明会で,Microsoftのプログラム・マネージャを務めるDavid Armour氏が筆者に話してくれたところによると「VMM 2008はESX Serverを『一級市民』として扱い,最も頻繁に利用されるESX Serverの管理機能へのアクセスを提供する。仮想マシンの自動配置やVMMのMicrosoft SQL Server 2005ベースのライブラリなどVMM固有の機能を,ESX Serverで使用することも可能だ」という。

作業負荷に応じて仮想マシンを自動的に展開可能

 VMM 2008は,ユーザーの環境内にある仮想化ホストを分析し,仮想化の作業負荷に応じて最適な物理サーバーを提案する。「Intelligent Placement(インテリジェント配置)」と呼ばれるこの機能は自動的に実行することも可能で,その場合は仮想資産を必要に応じてホストからホストに移動する。仮想マシンの展開が終わった後に,ユーザーは設定を監視し,それに応じて配置された仮想マシンの管理を行うことができる。

 VMM 2008ライブラリは,VMや仮想ハードディスク(VHD),ISOファイル,プロファイル,カスタマイズ・スクリプト,sysprep用アンサー・ファイル,テンプレートといった仮想資産を一元的に管理/格納する。大規模分散環境では,WANに起因するパフォーマンス上の問題を防ぐために,複数のライブラリを実装することが可能だ。

 VMM 2008の新機能である「Performance and Resource Optimization(PRO)(パフォーマンスとリソースの最適化)」は,Operations Manager 2007管理パックが提供するパフォーマンスや健康状態に関するデータを使用して,仮想化リソースを最適化する。さらに,VMM 2008はWindows Server 2008のフェイルオーバー・クラスタリング機能をサポートしており,クラスタに対応した高可用性の仮想化環境構築を可能にする。

VMM 2008を利用するための環境を確認

 VMM 2008を利用するにはどうすればよいのだろう。ここで,VMM 2008の利用環境を確認しておこう。

 Microsoftが無償提供しているVM管理ツールのHyper-V Managerと違い,VMM 2008はActive Directory(AD)ドメインにインストールしなければならない(ただし,仮想マシンのホストはドメイン・メンバーでなくてもよい)。VMM 2008は,Windows Server 2008 x64にのみインストール可能だ。VMM 2008には,VMMのライブラリおよびレポーティング機能に必要なSQL Server 2005 Expressが含まれている。VMM 2008は,SQL Server 2008など既存のSQL Serverをそのまま使うこともできる。

 VMM 2008の管理コンソールは,Windows Vista SP1やWindows Server 2003,Windows XP SP3にもインストールが可能だ。Windows Server 2008やWindows Server 2003 R2にインストール可能なセルフサービス・ポータルを利用すると,イントラネット経由でVMMの機能を提供することができる。その際,それぞれのホストとライブラリ・サーバーに,VMM 2008のエージェントをインストールしておく必要がある。