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鈴木 義伯 氏

なぜ上流工程を重視したのですか。

 システムの品質は上流工程の出来によって決まるからだ。要件定義書や外部設計書の品質を担保できるかがどうかがプロジェクトの正否を左右する。

 ここで勘違いしやすいのは、総合テストや検収テストで上流の成果物の品質を確保すればよいと考えることだ。テストまで待たず設計や実装といった作り込みのフェーズで記述漏れや矛盾などを見つけ出す理想に立ち戻って作業しないと、品質は一定以上に高まらない。

具体的な取り組みと成果を教えてください。

 今回は不良が生じたらすぐ前工程に戻って手を打つようにした。外部設計書を例に取ると、次工程の詳細設計書を作るときが最も不良に気付きやすい。このとき詳細設計をいったん止めて、外部設計書の修正を優先した。上流工程の進捗は一時的に遅れたが、結果的に品質の確保につながった。進捗については、手戻りを減らせるので試験フェーズに入ってからある程度は取り戻せるのではないかと考えている。

 設計以降、要件定義書などの不良をいつ何件見つけたかを継続的に記録している。不良は徐々に収束している。これらの成果物の品質を総合テストや検収テストに入る前に高められたのが収穫だ。

今後の見通しはいかがですか。

 東証と富士通のどちらが不良を摘出したのかも調べている。ベンダーが発注者に言われたものを作ればいいという受け身の姿勢だと不良は摘出できないもの。工程が進むにつれて富士通からの指摘件数が伸びたのは評価できる。

 検収テストでの単位ステップあたりの不良件数は、過去の開発案件の半分程度まで減らせると期待している。最終的に高品質なシステムを完成できると信じている。

聞き手=大和田 尚孝(日経コンピュータ)