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経産省が進める石油代替エネルギー法の改正は、原子力発電所の立地を進め、稼働率を引き上げることを目指している
経産省が進める石油代替エネルギー法の改正は、原子力発電所の立地を進め、稼働率を引き上げることを目指している

 政府は石油代替エネルギー法の抜本改正に着手した。燃料価格の高騰や台頭する資源ナショナリズム、温暖化問題に対応すべく、電気、ガス、石油の3業界に脱化石燃料を目指した目標を課す考えだ。

 石油代替エネルギー法(代エネ法)は、2度のオイルショックを契機に、石油依存から脱却すべく1980年に制定された。この30年の間に、石油火力発電所の発電量は半分に減り、産業界では燃料転換が起こった。

 しかし、温暖化対策を考えれば、石油だけでなく石炭や天然ガスなどの化石燃料全体を減らすことが必要。さらに、化石燃料の価格が急速に高騰し、ロシアに代表される資源ナショナリズムの台頭が安定的なエネルギー供給を揺さぶっている。

 そこで経済産業省は、代エネ法を抜本改正し、エネルギーを供給する電力、ガス、石油の3業界に非化石燃料の導入の義務づけを検討し始めた。経産大臣の諮問機関である総合資源エネルギー調査会で10月7日に議論を開始。年内に報告書を取りまとめ、来年1月召集の通常国会へかけるスピード改正を目指す。

 非化石燃料の導入義務というと、RPS法(新エネルギー等電気利用法)が思い浮かぶ。しかし、代エネ法改正が狙うのは、RPS法のような単年度の導入目標ではない。2030年や2050年といった長期目標になる。石油業界は今回の改正が、石油だけを対象の現行法から、化石燃料に対象を広げるため賛成している。ガス業界も、電力業界との競争が厳しさを増し、燃料電池などの新規事業の成否に将来がかかっているため、改正には積極的。問題なのは電力業界だ。

原子力の立地を国が後押し

 今回の法改正は、新エネルギーの導入目標の引き上げは目指していない。政府の「長期エネルギー需給見通し」で示した、原子力や新エネルギーの推定導入量を満たすための方策と考えればよい。既に電力業界は、2050年までにCO2を排出しないゼロエミッション電源を50%にする目標を掲げる。こうした長期目標に法的拘束力を持たせることで、難航する原子力発電所の立地を進め、稼働率を上げたいとの思惑がある。

表●石油代替エネルギー促進法の改正の方向性
表●石油代替エネルギー促進法の改正の方向性
経産省は、電力、ガス、石油の3業界に非化石燃料の長期導入目標と利用高度化を義務づける法改正を狙う

 経産省は、「立地の難しい原子力より火力の計画が前倒しになる傾向がある」と指摘する。実際、東京電力の2008年度の供給計画では、福島第1原発の計画が後ろへずれ、広野火力発電所が前倒しになっている。そこで代エネ法の改正を通じ、原子力立地の支援を強化する考えのようだ。だが、電気事業連合会の廣江譲事務局長は、「国の介入で急に立地が進むとは考えにくい。民間企業の自主性に任せてほしい」と訴えており、水面下での調整は難航が予想される。

 ガスと石油に対しては、バイオガスやエタノールといった非化石燃料の導入目標の優先順位は低い。既存の燃料の高度利用の促進を狙う。燃料電池や製油所での残さ利用の促進、製油所の集約による効率向上などが対象だ。高度利用は、新規の投資が必要になる。考え方によっては、代エネ法の改正がエネルギー産業の構造転換の起点になる可能性もある。