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山下淳一郎(やました じゅんいちろう)
株式会社アイ・エム・ジェイ 執行役員
Webマーケティングコンサルタント
山下淳一郎(やました じゅんいちろう) 1997年からインターネットに携わり,多くの大手企業のWebサイトを手がける。顧客視点に根ざされた彼の戦略立案は,多くのクライアントから高い評価を得ている。また,脳生理学理論を取り込んだ独自のマーケティングやWebサイトコーチングのセミナー講師としても活躍し,Web担当者が必要とするスキルをプログラムにした講座も手がけている。

A.「血液型,指紋などの否定し難い事実にもとづく法医学データや,自動車塗料破片の分光器による分析などが立証するのは―――」。

B.「4月9日,木曜日 午後3時30分,コロンバスの北15マイルのルート9路上を黒の87年型4ドア セダンが制限速度35マイルのスクールゾーンを時速75マイルで走行中―――」。

C.「大破したスクールバスと痛ましい事故の犠牲者の恐ろしい光景に興奮して押し寄せる群集を必死になって押し止めようとする警官の傍らで,母親が泣き叫びながら,真っ青になっている被疑者に訴えて―――」。

D.「この事故は酒酔い運転と車のデザイン上の欠陥が重なって最悪の結果となった。この2つの問題は国の政策上の問題であり,将来の世代を事故から守る為にも,緊急に議会で取り上げる必要がある―――」。

 ここに挙げた4つの「」は,実際にあった,同じ自動車事故に関する4人のリポーターの報道です。もし,あなたが上司で,4人の部下からこのような報告を受けたら,「いったいどれが本当なんだ!」と思わず怒ってしまうかもしれませんね。しかし,本当に,こんなにバラバラな報道がされたのです。

従来とは異なるコミュニケーションの工夫が必要に

 仕事の現場では実際にこのようなことが,日常茶飯に起きていると思います。全く同じものを見て,なぜここまで異なるレポートになるのでしょうか。

 実は,利き腕があるのと同じように,脳も普段多く使用している利き脳というものがあるのです。このようにお伝えするとすぐ思い浮かぶのが右脳左脳ですね。その右脳左脳に加えてもうひとつ,脳の役目は上下でも分かれていて,大別すると図1のように,機能は4つの領域に分かれています。

図1●私たちは受け取った情報を脳の4つの領域で処理している。どの領域を多く使っているかによって,同じものを見てもひとそれぞれ,表現や表す内容が全く変わってくる

 その人がどの部分の思考を得意として,どこを多く使っているかによって,同じものを見てもひとそれぞれ,表現や表す内容が全く変わってくるのです。前記した4つの報道のように。

 インターネットの黎明期は,一人のスペシャリストがいればWebサイトを作ることができました。当時のWebサイトは,紙の会社案内がインターネットにそのまま掲載されているようなレベルであったためです。このように,単なる情報掲載の役目を担っていたWebサイトも時を経て,今やお客様へのれっきとした窓口役となり,お客様の満足を獲得するサービスツールとなりました。つまり,Webサイトの構築の難易度が飛躍的に高くなったわけです。

 多くの役割を担い巨大化したWebサイトは,もはや,どんなに優れたスペシャリストがいても,一人で作れるものではなくなりました。Webサイトの構築に際しては,多くの知識,多くの能力,多くの役割を担った人たちを必要とします。ちょうど,一軒の家を建てるのに,建築士,工事担当者,電気工事担当者,水道工事担当者,ガス工事担当者など様々な役割を担った人たちのコラボレーションが必要なのと同じです。

 現在,マスメディアとネットメディアが融合していく流れの中,まさに家を建てる場合と同じように,広告主であるクライアント側では,広報,宣伝,マーケティング,営業といった様々な部門の人たちが関わってきます。他方,メディアを構築する側も,プロデューサー,ディレクター,デザイナー,技術者と,様々な役割を担った人たちが関わります。こうした関わりの中で,Webサイトの構築は進められ,コミュニケーション・デザインの重要な一役を担う存在となったのです。

 つまり,「意思一体化による部門間の連携」と「秩序化された部門間の連動」が求められているのです。ここで見落としてならないのは,部門間,上司部下,そして,顧客とのコミュニケーションにおいて,従来とは異なる工夫が求められるようになったという点です。コミュニケーション・デザインの重要な一役を担うWebサイト構築は今,新たな局面を迎えています。

 すでに現在,Webサイト構築に際して,「意思一体化による部門間の連携」と「秩序化された部門間の連動」が,企業の重要なテーマの1つとなっているのです。部門間,上司部下において,双方が互いの思考タイプを知り,相手が理解しやすい形で伝える工夫にこそ,得たい結果を得るための手がかりがあり,企業の発展もそこにあると言っても過言ではありません。

 この連載では,その解決のヒントとなるような話を紹介していきます。