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 「新型インフルエンザの発生は認められていません」。「世界の状況→WHOフェーズ3」。「我が国の状況→フェーズ3A」。

 厚生労働省のサイトを見ると,新型インフルエンザに関するページの目立つ場所に,こんな情報が掲示されている。ここでいう“フェーズ”とは,パンデミック(世界的な大流行)の脅威の深刻さに関して,WHO(世界保健機関)が発している警告レベルのことだ。世界はいま,ヒト-ヒト感染が起こる「フェーズ4」がいつ訪れるのか,かたずをのんで見守っている。

 経済危機への対応に苦慮しているさなかに,新型インフルエンザ対策に手間とコストをかける余裕などない。100年に一度と言われる危機に直面し,そう考える経営者は決して少なくないだろう。

 確かにタイミングが悪すぎる。経営者にとって企業の危機管理は,常に投資対効果を意識させられる事案だ。新型インフルエンザがいつ発生してもおかしくない時期に,多くの企業は新規投資に躊躇し、コストをギリギリまで削りたい状況に陥っている。

 先月,本欄の「事業継続の意味を問いかける新型インフルエンザ」(2008年12月1日)で触れたように,企業経営者も危機管理担当者もIT関係者も,新型インフルエンザという新たなリスクの出現によって,「事業継続」の意味の問い直しを余儀なくされている。突如世界を襲った経済危機は,この問い直し自体を,さらに困難にするだろう。その結果,新型インフルエンザ対策に関して,ようやく“積極派”に転じようとしていた企業が,“様子見派”や“消極派”にとどまってしまう心配が出てきた。

 既にその兆候はある。日本経済新聞社が防災未来センターと共同で大手企業を対象に実施したアンケート調査によると,新型インフルエンザが国内で発生した場合を想定した対策が特に遅れていることが明らかになった(1月16日付け日本経済新聞朝刊)。時差通勤/代替通勤,在宅勤務,電話/ビデオ会議などの対策を「策定済み」または「策定中」の企業は,全体のわずか4割程度にとどまった。「策定済み」は,いずれも10%台という(関連記事)。

 多くの企業にとって,当面の最優先の経営課題が経済危機への対応であることは間違いない。しかしこの難局にあっても,企業は新型インフルエンザに対する危機管理を完全に放棄するわけにはいかない。フェーズ4への移行が時間の問題と言われるなかで,これまで経営判断を保留し続けてきた企業も早晩,自社がどのように新型インフルエンザ対策に向き合うべきか,意思決定を迫られる。「言うは易し」という反論も出るだろうが,思考停止が許されないこともまた事実なのである。

 そうした経営判断と意思決定には,新型インフルエンザ対策に関する正確な情報や,先行して取り組んできた組織の知見と経験が欠かせない。そんな思いで,日経BP社はセミナー「企業のためのパンデミック対策」を企画した。1月28日に開催する。

 海外事例の研究や体験型シミュレーションの実施(関連記事)など,幅広い研究・啓蒙活動を続けてきたNPO法人 事業継続推進機構をはじめ,新型インフルエンザ対策や危機管理の専門家を講師に招き,「事業継続」の観点から企業が考えるべきこと,準備しておくべきこと,社会的責任を果たすために必要なこと,などを解説していただく。経営者のほか,経営企画,総務,経理などスタッフ部門の担当者,情報システムを含む各部門の責任者などに,ぜひ足を運んでいただきたいと考えている。