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 Windows 7のベータ版公開で年明け早々の注目を集めたMicrosoftだが,2009年同社は必ずしも順風満帆というわけではなさそうだ。はじめての大規模リストラ計画に加え,Vistaやクラウド・コンピューティングへのテコ入れも相変わらずの課題として残っている。

Take1:「Microsoftが大規模なレイオフを計画」との報道

 これまで小規模なレイオフは何度か実施したことのある米Microsoftだが,従業員の大量解雇は一度もしていない。だが,米Wall Street Journal紙の記事によると,こうした状況も終わるらしい。同紙は,Microsoftが(最近のうわさで出た1万5000人よりは相当少ないものの)数千人の従業員をレイオフするかどうか検討中,と報じている。

 大したものではないが,緊急対策を考えてみた。ほとんどすべての職が失われたとしても,Microsoftの社内カフェテリアのどこかで掃除の仕事くらい見つかるはずだ。ただし,カフェテリアが残っていれば,という話である。

Take2:Vista発売から3年目の遅すぎた対策,最大の不満を解消へ

 ここでいうWindows Vista最大の不満とは,ユーザー・アクセス制御(UAC:User Access Control)のことではない。UACは恐らく2番目に苦情の多い機能だろう。Microsoftは,相変わらずUACは残したままである。

 Windows Vista最大の不満とは,以前のWindowsとの互換性である。それまで使っていたアプリケーションが動かないため,XPからVistaにバージョンアップを控えるユーザーがいるのだ。こうしたユーザーのために同社の講じた対策は,企業向け仮想化ツールのベータ版提供である。

 このツールを使うと,「Windows Vista」上でどうしても動かない旧Windows用アプリケーションを,企業内で簡単に配信できるようになる。予想通り複雑な名称となったこのツール「Microsoft Enterprise Desktop Virtualization(MED-V)」は,同社とボリューム・ライセンス契約を結ばないと入手できない(関連記事:Microsoft,仮想化デスクトップ管理ソフト「MED-V 1.0」のベータ版を公開)。

 ただし,これは始まりに過ぎない。MED-V(旧名称は「Kidaro」)は基本的に,旧Windowsと任意のアプリケーションを動かす仮想マシンを導入し,あたかもそのアプリケーションがWindows Vista上で動いているかのように見せる環境を実現するツールだ。同社はMED-Vの最終版を,仮想化/管理スイート「Microsoft Desktop Optimization Pack(MDOP)」を構成するツールの1つとして2009年第2四半期にリリースする。

Take3:クラウドOS「Windows Azure」用開発ツールの新版登場,Azure自体は相変わらず雲をつかむよう

 同社は2009年1月第3週,クラウドOS「Windows Azure」用のソフトウエア開発キット(SDK)と開発ツール「Windows Azure Tools for Visual Studio」のそれぞれ新版をリリースした。今後提供する予定のクラウド・コンピューティング・プラットフォームを開発者に把握してもらうために,同社はSDKと開発ツールを用意している。

 新版は,2008年10月に行われた開発者向け会議(PDC:Professional Developers Conference)でAzureのコミュニティ技術プレビュー(CTP,Community Technology Preview)版の一環として初版が公開されて以来,初めてのアップデート版である。

 正直なところ,Azureはいまだにあいまいな存在である。Azureがどのように機能し,どういった構成になるのかをきちんと理解している人など,ほとんどいない。同社自体がAzureで混乱しているように見受けられる。Azureの公式ロードマップには,このロードマップを説明する発表を2009年第2四半期に行う,と記載されている。