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 SaaS/ASPを使うデメリットに関しては、利用開始前に不安に感じた点が図5のようになっている。

図5●サービス利用開始前に想定したSaaS/ASPを使うデメリット
図5●サービス利用開始前に想定したSaaS/ASPを使うデメリット

 「サービスの可用性が十分かわからない」というのが得点147点と、ほかの不安要因に大差をつけた。2位以下4位までは横一線。5位の「セキュリティ面の危険が大きい」と6位の「アプリケーションが使いにくい」は、基幹業務系のアプリケーションを使っている回答者では得点が高くなった。一方、非定型業務系のアプリケーションを使っている回答者では下位の7位、8位とそれほど変わらない得点だった。

 セキュリティ面の不安で大きな違いが出たのは、業務の内容に理由がありそうだ。非定型業務系のアプリケーションの場合、メールなどもともとインターネットを利用するものが多く、SaaS/ASPでインターネットを経由してデータをやり取りすることはセキュリティ上のマイナスにはならない。一方、基幹業務系の場合、これまではLAN内に閉じた環境で利用するのが普通だったので、インターネット上にサーバーがさらされ、データが流れることに不安を感じるのだろう。

採用後はネットワークの問題が一番

 では、利用開始後に感じているデメリットはどのようになっているだろうか(図6)。得点が一番多かったのは「ネットワークが使えないと業務が滞ること」。特に、非定型業務系の回答者では161点と非常に高得点だった。一番の理由として挙げた回答者が24.3%もおり、3番までに挙げた回答者が44.8%に上った。利用開始前の不安点では84点であり、77点も上昇している。

図6●サービス利用開始後に実感したSaaS/ASPを使うデメリット
図6●サービス利用開始後に実感したSaaS/ASPを使うデメリット

 基幹業務系の回答者でも「ネットワークが使えないと業務が滞ること」は1位だが、117点と得点は非定型業務系の回答者よりかなり低く、2位の「アプリケーションがカスタマイズできない」の113点と同等だった。このほか「アプリケーションが使いにくい」も100点を超え3位になった。これら上位3項目は、いずれも利用開始前の不安の得点より、利用開始後の問題点の得点が上回っている。想定以上に問題になっていることが想像される。

 アプリケーションが「カスタマイズできない」「使いにくい」「機能が低い」の3項目はおしなべて得点が上がった。合計すれば57点上昇している。利用開始後のアプリケーション自体への不満は高い。

 一方で、可用性については4位で80点と、事前に感じていた不安からはだいぶ下がっている。セキュリティ面のリスクも基幹業務系の回答者では、利用開始前に2位に入っていたのが8位と、大きく下がった。可用性とセキュリティ面については実際に使ってみると事前の不安は払拭された格好だ。

 さらに、利用開始前に不安に感じていた項目の得点と、利用開始後に感じているデメリットの得点の差異を見るとトップだったサービスの可用性が、他の項目よりも大きく点が下がっている。セキュリティ面の不安やコスト面の不安も点が下がっており、あまり問題はなかったと言える。

調査概要
調査は日経BPコンサルティングの調査モニターを対象に行った。まず、企業内のIT部門に勤めている人を対象に予備調査をした。そこでSaaS/ASPを利用している、あるいは利用を検討していると答えた回答者を対象に本調査を実施した。予備調査の回答者は2035。うちSaaS/ASPを導入済み362、試用中40、計画中36、検討中289。本調査の回答者は355。うちSaaS/ASPを導入済み164、試用中33、計画中27、検討中131だった。
参考文献
本記事は、日経マーケット・アクセスが9月10日に発行した『SaaS/ASP利用実態調査2008』を参考に執筆したものです。詳細はhttp://consult.nikkeibp.co.jp/consult/ma/saas2008/index.htmlをご覧ください。