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 東芝グループ唯一のITソリューション事業会社である東芝ソリューションでは,イノベーションのために情報の利活用を推進し,ITでサポートする仕組みを構築・運用してきた。社内には膨大な情報が蓄積され,多くのメンバーがそれを活用しており,そこには「情報の整理と活用に対する独自の考え方と,それを実現する数々の工夫」が施されている。本講演では,イノベーションを継続する同社の情報利活用基盤が紹介された。

東芝ソリューション 取締役 統括技師長 兼 IT 技術研究所所長 兼 情報戦略責任者 落合 正雄 氏
東芝ソリューション 取締役 統括技師長 兼 IT 技術研究所所長 兼 情報戦略責任者 落合 正雄 氏

 「変化が常態化された時代では,イノベーションを次々と起こしていくことが必要不可欠です」と落合正雄氏はイノベーションの必要性を説く。東芝では,イノベーションを「“現場改善活動”から“物事をまったく新しい方法で行うことによって資源が持つ富の創出能力を増大させること”までの広い範囲」と定義し,コモディティ商品も含めてイノベーションを行ってきた。

 「過去10年間にわたってイノベーションに取り組んできましたが,類型化された過去の事例とコミュニケーションの活性化がイノベーションを誘発することがわかりました」と落合氏。組織の壁を越えたコミュニケーションと,知識の蓄積・活用がイノベーションには重要だと指摘する。

 しかし,様々な制約から有能な人材が集まらない,経験やノウハウは頭の中にとどまり形式知になっていない,情報や資料・データが散在している,といった課題もある。「成果物は蓄積されている場合が多いのですが,蓄積して活用したい知識は単なる成果物ではなく,そこに至る試行錯誤の情報や提案書の活用履歴など,付加価値を持つ情報を組み合わせて体系化したものなのです」と落合氏は語る。

 落合氏は「これらの課題を解決するIT要件は4つあります」という。具体的には有能な人材が集まって情報共有できる場を作ること,成果物だけでなく経緯や理由なども含めた知識の蓄積,知識を見える化して活用できるようにする知識の整理,新たな発想やきっかけのための知識の活用の4つである。そして東芝ソリューションでは,ITに求められるこれらの4つの要件を踏まえて,知識利活用のための基盤構築に取り組んできたという。

情報利活用基盤を構築し自社の課題解決に適用

 当初の知識利活用基盤は自然発生的に作られたものだった。「2000年7月から研究所で社内運用を開始したコミュニティシステムが最初の基盤です。これはメールベースで結果を蓄積していくもので,現在は2万5500ユーザーが登録し,2500以上のコミュニティがあります。東芝グループの従業員であれば誰でも利用することができます」(落合氏)。

 このコミュニティシステムの使い勝手を良くして,東芝ソリューション全社で共有するためにと考えられたのが,知識利活用基盤「KnowledgeMeister Succeed」だ。2007年から東芝ソリューション社内での運用を開始し,登録ユーザーは約5000人,コミュニティ数は約1500を数える。「機能としては,コミュニケーションと情報の蓄積と,情報の知識化・見える化の2つで構成されています」と落合氏はいう。

 コミュニケーションはメール形式で行われるが,特徴的なのは裏側でデータベースを作っていることだ。「通常のメールシステムを使ってやり取りしますが,コミュニティに投稿された情報は関係するメンバーにメール送信されると同時に,システムに蓄積されます。成果物の承認履歴や承認の際のコメントも合わせて蓄積されます」と,落合氏は情報の蓄積に関するプロセスを解説する。

 蓄積された情報は決められた業務プロセスに沿って整理され,見える化して活用できる形で蓄積される。落合氏は「業務の経緯や関連情報はツリー形式で表示され,どの議論からどんな結論が導き出されたかがわかるようになっています」と語る。

 「KnowledgeMeister Succeed」は,見積作成やトラブル対応,営業活動履歴,規程管理業務などにも活用されているという。「見積作成では,過去の見積回答書が残っていない,承認履歴が残っていない,見積回答に必要な関係書類がバラバラに管理されているという問題がありましたが,業務プロセスを標準化して業務プロセスに沿ってやり取りを残し,それをあとで整理することにより事例ベースのポイントがわかるようになりました」と落合氏は解説する。

知識利活用ソリューション
知識利活用ソリューション
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 そして落合氏は,通常業務以外の適用事例として「J-SOX法 プレパイロット」への対応を挙げた。少人数で行われたプレパイロットプロジェクトでのやり取りを残し,それを整理してパイロットプロジェクトに引き渡した。その結果引き継ぎがスムーズに行われ,プレパイロットプロジェクトでの議論の内容が効果的に利用できたという。

自社の先進事例のノウハウをもとにお客様の課題解決を支援したい

 現在東芝ソリューションでは,「KnowledgeMeister Succeed」を使って世の中に蓄積された膨大な情報と社内に蓄積された過去の知識を合わせて情報の分類と分析を行い,新たな戦略や知識の創造につなげようとしている。

 そのひとつが特許情報分類である。特許検索システムから情報を取り込み,特許群の分類構造を自動的に決定して分類構造をツリー表示するとともに,2軸マップを作成して特許情報をマッピングするというものだ。「この仕組みを使って試行錯誤を繰り返すことで,これまで2週間かかっていた情報の整理が2時間でできました」と落合氏はその成果を示す。

 こうした情報分類機能の応用は,コールセンターに集まる情報を基にした品質管理やアンケートの自由記述の分析業務などにも適用できるという。

 現在東芝ソリューションは,「KnowledgeMeister Succeed」の商品体系化を進めている。落合氏は「情報の収集や情報共有,知識蓄積,知識体系化など,情報の利活用基盤としての機能はほぼそろいました。今後は特許情報分類のような業務ソリューションのラインアップを充実させていく構想です」と展望を語る。

 知識利活用のコア技術には,東芝が独自に開発した先進技術が多く取り入れられている。「イノベーションの継続に必要な知識や情報の利活用のためにはIT基盤が重要です。先進の社内事例のノウハウをベースに,知識経営の成功と情報資産活用を支援していきます」と,落合氏は今後の抱負を語った。