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CRMシステムの導入・活用方法が分からない―。検討段階で停滞していた商談を、後発でコンペに参入したCECが逆転で受注した。ユーザー企業の経営層の攻略に注力したことが奏功した。

 「計画が遅れるどころか、プロジェクト自体が消滅しかねない」。2007年10月、川澄化学工業医薬品医療機器事業部事業管理グループの石黒裕司マネジャーは頭を抱えていた。

 石黒は、CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)システムを検討するチームの中核メンバーであり、SIerとの商談は4カ月を超えていた。それでも「CRMシステムで実現したいこと」が確定できなかったのだ。

 シーイーシー(CEC)の営業担当者が石黒に接触したのは、このころである。8月にマイクロソフトが主催するセミナーで名刺を交換したこともあり、石黒はこの営業担当者の訪問を快諾した。

MSが主役、SIerがわき役の営業

 川澄化学の石黒が、CRMシステムの検討に着手したのは07年2月のことである()。検討チームには、現場を代表する石黒たち数名と情報システム部門が参加した。

表●シーイーシー(CEC)と川澄化学工業の商談の経緯
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表●シーイーシー(CEC)と川澄化学工業の商談の経緯

 導入するCRMソフトを議論した結果、マイクロソフトが06年秋に日本市場に投入した「Dynamics CRM」を第1候補に選ぶ。川澄化学が導入していたグループウエア「Exchange」と連携させやすいことなどが理由だ。石黒は07年5月にマイクロソフトに相談し、Dynamicsの販売パートナー2社の紹介を受けた。

 ところが、石黒の検討作業はここから暗礁に乗り上げる。マイクロソフトから紹介を受けたのは、準大手SIerのA社とB社。ともに製造業に強く、知名度もある。だがA社、B社の担当者がどうも頼りないのだ。

 両社とも同行したマイクロソフトの営業を中心に、Dynamicsの機能や特徴を解説。こうした商談スタイルに、石黒はとまどった。

 石黒は「当社がどの機能で何を実現すべきかを、イメージできなかった」。検討チームには専門家はいない。ソフトの機能説明とシステム導入計画を埋める作業は、なかなかはかどらなかった。

 それでも石黒は導入計画をまとめ、常務の辻長一郎に提示した。「まずは私を納得させる案を作れ。必要なら、予算枠がなくても社長を説得する」と訴えていた商談のキーパーソンである。辻は検討チームが作成した導入計画案を何度も却下した。

導入・活用方法の提示に注力

 偶然にも、CECの営業チームは、川澄化学が手詰まりにあった10月に門を叩く。訪問したのは、CECのシステムエンジニアで、第一ソリューション部主任の市川浩丈である。

 川澄化学の石黒は、10月下旬の初回の商談で市川の話を聞くと、「こんな提案を待っていた」と内心で膝を叩く。市川が強調したのはDynamicsの機能よりも、CRMシステムを上手に導入・活用する方法だった。

 「現場に負担がかからないよう、まずは小さく始めましょう」「事務局を常設し、継続的な指導でシステムの定着を図るのです」。Notesで失敗を経験した石黒には腑に落ちる話ばかりだ。

 市川はこうも助言した。「CRMが浸透するかどうかはマネジャー(中間管理職)がカギを握る。有用な情報を吸い上げるには、マネジャーが部下の入力した情報にコメントするなど、現場の意欲を高める工夫が必要です」。CRMシステムの役割を考える上で、石黒には重要な示唆である。

 事例紹介も、導入イメージを想起しやすく、ていねいだったという。心に響いたとは言い難かったA社とB社のプレゼンの後だけに、石黒はCECの市川に好印象をもった。

 「11月下旬に、担当役員に検討状況を報告します。当社の役員にCECさんの案を説明して頂けませんか」。商談の最後には石黒は、CECにこう切り出していた。

 検討作業はここから一気に加速する。川澄化学は11月中にA社とB社との商談を打ち切った。本命のCECの対抗馬として、NotesベースのCRMソフトを手掛けるC社にも声をかけた。

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