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図●タイムアウトがさらなるアクセスの増加をまねきダウンにつながる
図●タイムアウトがさらなるアクセスの増加をまねきダウンにつながる

 2009年に注意したいシステムダウンを展望する特集の3回めは、システムの「性能不足」を取り上げる。

 性能不足とは、システムがデータ処理を制限時間内に完結できない状態だ。性能不足が起こると、システムが処理要求のデータを受信してから処理結果を返信するまでに時間がかかるようになる。なかなか応答が返ってこないので、システムに要求データを送信した利用者は、レスポンスが悪いと感じる。

 利用者が操作するパソコンなどのクライアント端末は、一定の時間内にシステムから応答が返ってこないとタイムアウト(時間切れ)と判断する。タイムアウトが起こると、利用者は何度も同じ操作を繰り返すことが多く、さらなるアクセス増加につながる。最終的にシステムは大半の要求データを処理できなくなり、返信ができなくなる。これが性能不足によるシステムダウンだ()。

 こうした事態にならないように、通常はピーク時で要求データがどのぐらい集中するのかを見積もり、それに耐えるようにハードウエアやネットワークを設計、構築する。さらに、ハードウエアなどの処理性能には余裕を持たせ、想定したピークを多少上回っても処理をこなせるようにする。並行して、システムの稼働中はプロセサやメモリーなどの使用率を常時監視する。使用率があらかじめ決めたしきい値を上回った場合は、さらなる能力増強を検討する。

 ただし能力増強にはコストがかかる。企業が100年に一度と言われる経済危機に直面したいま、投資の稟議が通らない可能性は十分にある。2009年は、こうした経営判断が、結果的にダウンにつながるケースがありえる。

不況でもデータ量は増える可能性が

 ここで注意しなければならないのは、「景気低迷で受注件数は減っているのだからシステムが取り扱うデータ量も減るはず」という誤解だ。システムの特性にもよるが、景気動向によらずデータ量が右肩上がりで増えているシステムは少なくない。

 最たる例がクレジットカード会社の精算システムだ。最近は、自動車で有料道路を通過する際の支払いに使える「ETC(自動料金収受システム)」、あるいは後払い方式の電子マネーのように、数百円の小口決済でもカードを気軽に使えるようになった。

 利用者からすれば喜ばしいことだが、カード会社のシステムにとっては深刻だ。カードを使った際の決済データは、10万円の買い物でも100円の利用でも、金額にかかわらず1件。決済の小口化が進むと、それだけシステムが取り扱う決済データの件数は増える。ETCや電子マネーなどの利用件数が増えれば増えるほど、決済データが増加し、システムにかかる負荷が増す。

 性能不足が問題になるのはオンライン処理だけでない。データ量が増えると売り上げの計上や請求額の計算といったバッチ処理の実行時間が長引くリスクもある。夜間のバッチ処理が翌朝までに終わらず、予定時刻になってもオンライン処理をスタートできないトラブルが起こるかもしれない。

 不況だからデータ量は増えないだろうと安易に考えるのは禁物だ。予算の関係でサーバーの増設といったシステムの能力増強を仕方なく見送るのであれば、システムの使用率や処理にかかる時間の推移などを、より注意深く監視するなどの対策を講じる必要がある。