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 さらに分析を進めよう。成功率の算出根拠は品質、コスト、納期だ。この三つの基準別に、定量管理している企業としていない企業の順守率を比べた。定量管理はどの指標をより押し上げる効果があるかを調べるためだ。図1~3がそれを示している。

図1●品質の順守率と定量管理手法の相関
図1●品質の順守率と定量管理手法の相関
有効回答は212件(品質は実際に利用してから判断するため回答数が下がる)
図2●コストの順守率と定量管理手法の相関
図2●コストの順守率と定量管理手法の相関
有効回答は438件
図3●納期順守率と定量管理手法の相関
図3●納期順守率と定量管理手法の相関
有効回答は438件

 結果として、三つの指標すべてで差がついた。定量管理している企業は品質で70.6%、コストで68.5%、納期で67.1%が当初計画を順守した。定量管理していない企業に比べ、それぞれ27.5ポイント、7.9ポイント、19.0ポイント高くなっている。

何か一つでも始めてみる

 以上は何らかの定量管理をしている企業としていない企業を比較したものだ。では、進捗、コスト、成果物のどれを定量管理する場合が最もプロジェクト成功率に寄与するのだろうか。これについては、特定の項目を管理すると飛びぬけて成功率が高くなるという傾向は見られなかった。どの項目を定量管理しても、あるいは複数の手法を併用している場合でも、ほぼ同様の成功率になった。

 例えば進捗を定量管理している企業は納期の順守率が66.9%になり、全体平均の54.6%より高い。ただしコスト、品質の順守率もそれぞれの全体平均を上回った。他の指標についてもすべて同様だ。

 このことから、日経コンピュータでは「何か一つでもよいから定量管理を始めてみる」のが良策であるとの結論に至った。

 一方、コストと進捗の定量管理は補完関係にあることもわかった。コストの順守率が最も高くなるのはコストを定量管理している企業ではなく、進捗を定量管理している企業なのだ。進捗を管理している企業はコストの順守率が70.5%。コストを定量管理している企業のコストの順守率69.2%や全体平均の63.2%よりも高かった。

 この裏返しで、納期の順守率が高いのはコストを定量管理しているケースだ。前述のとおり進捗を定量管理している企業の納期順守率は66.9%なのだが、コストを定量管理している場合はさらに上がり、70.8%に達する。

 この逆転現象について、ガートナージャパンの川辺謙介主席アナリストは「特に不思議ではない。納期とコストは高い相関関係にある」と話す。「コストを計画以内に収めようとするときは、機能を削るなどするもの。結果として納期も守りやすい。また納期を守ろうとすれば追加作業を減らそうとするため、同様にコストも計画通りに収まりやすい」(同)。

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