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 実装と運用段階の技術は「習うより慣れろ」。実際に体を動かして,作業を何度も「反復」させてみよう。スキーの滑り方を教えるとき,スキーの中心に体重をかけて歩くことを繰り返させることから始める。繰り返すことで,体重をかける位置はココという感覚が体に染み込み,体勢が崩れた場合でも無意識のうちに元の位置に戻せるようになる。

 システム開発も同じだ。「手が動くままコーディングすれば,メンテナンスが容易なプログラムが自然とできあがる」「障害が発生したときに,複雑な構成の中からその原因をピタリと当てる」――このレベルが目標だ。

 早さと正確さが求められる実装と運用段階の技術の伝承には,反復がうってつけなのである。高い効果を上げている現場の取り組みを見ていく。

反復させて全体像を把握させる

 テスト工程で,優れたテスターはほかの人が見落としてしまうバグを発見する。発見できるのは偶然ではない。「前に発見したバグがどこに波及するか」「同じエラーがどこで出るか」「どういうテストを実施すればよいか」「どういう順序でテストを実施すればよいか」――。そういうことが直感的に分かるから,見えないバグを狙い撃ちできるのである。

 ソフトウエアのテストに詳しい豆蔵 ES事業部 シニアコンサルタントの大西建児氏は,そういう技術を伝承するには,地道な作業を繰り返させるのがよいという。同じ作業を何度も繰り返すと,システムがどういうふうに成り立っているのか,その全体像が体にたたき込まれるからである。システムの全体像がイメージできれば,バグの潜んでいそうな場所に当たりを付ける勘所も分かるというのである。

 「反復させる作業は,全体の仕組みが分かるものや失敗しても先輩がカバーできるもの,単純なものを選ぶ。例えば“付け合わせ”がよい」(大西氏)。付け合わせとは,画面/帳票のフォーマット(設計書)と,実際の画面/帳票を逐一見比べ,誤りがないかどうかをチェックしていく作業。これを数カ月間にわたってやらせるのである。この膨大な付け合わせ作業を,大西氏は先輩にやらされ,自分も後輩にやらせ,普通は見つからないようなバグを見つける技術を伝承した(図3)。

図3●作業の反復によりテスト設計技術を伝える<br>豆蔵の大西建児氏は,同じ作業を若手に繰り返させることで自らの技術を伝承している。反復させる作業は,(1)プログラム全体の仕組みが分かる,(2)失敗しても先輩がカバーできる,(3)単純である,ものを選んでいる
図3●作業の反復によりテスト設計技術を伝える
豆蔵の大西建児氏は,同じ作業を若手に繰り返させることで自らの技術を伝承している。反復させる作業は,(1)プログラム全体の仕組みが分かる,(2)失敗しても先輩がカバーできる,(3)単純である,ものを選んでいる
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