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 ITproと日経コミュニケーション編集部は2月26日に「拡張現実(AR=Augmented Reality)のビジネス」をテーマとしたカンファレンスを開催します。少々時期尚早なテーマかとも思いましたが,ARは“日本発”で“世界初”のビジネスになると考え,企画しました。現在の不況を吹き飛ばすような新しいビジネスの種を育てることに微力ながらも役立てればと思います(ARについて詳しくはこちらをご覧ください)。

 ARの実際的な研究は1990年代の初頭から各国でスタートしています。その中で,日本の研究者が果たした役割は小さくありません。90年代中盤までのAR研究がまとめられたRonald T. Azuma氏の論文「A Survey of Augmented Reality」(注:英語,PDFです)を読むと,カンファレンスで基調講演をお願いしている暦本純一先生など,何人もの日本人研究者の名前が出てきます。

 ニコニコ動画やYouTubeで流行しているARの動画(これこれ)で使われている「ARToolKit」を開発したのは奈良先端科学技術大学院大学の加藤博一教授です。ARToolKitから派生した「NyARToolkit」を使えば,Windows Mobileなどを塔載する携帯電話でもARのアプリケーションが動くところまできています。

 カンファレンスでは様々なARのデモンストレーションを準備していますが,NyARToolkitを使った携帯電話のデモも用意する予定です。NyARToolkitの開発者である飯塚綾氏にデモの解説を依頼しています。また,ARToolKitの使い方を詳しく説明し,ネットにおけるARブームの火付け役となったWebサイト「工学ナビ」を主催する橋本直氏にも講演をお願いしています。

 研究だけではありません。ビジネスも進んでいます。一般消費者向け製品のなかでARを使ったのはおそらく日本が最初です。1998年に発売されたソニーのノート・パソコン「バイオC1」に付属されていた「CyberCode Finder」がコンシューマ向けARアプリケーションの元祖だと思います。最近でも,PLAYSTATION 3用ゲーム「THE EYE OF JUDGMENT」や芸者東京エンターテインメントが開発した「電脳フィギュアARis」といったARを活用した製品が販売されています。ARはゲームやアニメとの相性は抜群ですから,今後もゲーム/エンタテイメント分野で様々な製品が登場するでしょう。

 そして,ARビジネスの真打ちは携帯電話との組み合わせです。携帯電話は数年内に数10Mビット/秒以上のデータ通信速度を可能にする「Long Term Evolution」が普及し,大容量のコンテンツを扱え,情報検索も高速かつ頻繁に行えるようになります。一方で,携帯電話の物理的なサイズは変えられませんから,小さなユーザー・インタフェースでコンテンツの利用と情報検索を効率的に実現する技術が求められます。ここでARを使う「空間検索」技術がブレークするのではないかと予想できます。

 ARは裾野が広そうです。GPSやセンサーなどの電子部品,携帯電話やカーナビなどのデバイス,ゲームなどのコンテンツ,レストランなどの情報サービス,美術館や観光地でのナビゲーションと,多くの産業を巻き込みそうです。その過程の中でARが「日本で技術とビジネスモデルを作り」(←今ココ),「標準化」し,「世界へ売り込んでいく」産業になることを願っています。

■変更履歴
本文中に「PlayStation 3」との表記がありましたが,正しくは「PLAYSTATION 3」です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2009/01/30 11:45]