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 先日,「ITpro読者が選んだ2009年のキーワード」が発表された。注目は,「Windows7」や「クラウド・コンピューティング」といった目新しいキーワードに混じって「IPv6」が3位にランクインしたこと。今度こそ,IPv6は「来る」のだろうか。

問われ続けたIPv6のキラー・アプリケーション

 IPv6について語られるとき,よく「キラー・アプリケーションは何か?」が議論されてきた。IPv4ではできないけどIPv6ならできる魅力的なアプリケーションは何か――という話題だ。

 IPv6の特徴は,何と言っても「IPアドレスの数の制限が事実上ない」ということである。そこで期待されていたのが,家電やセンサーなどにIPアドレスを割り当ててネットワーク化して制御する「ユビキタス・ネットワーク」や「センサー・ネットワーク」と称されるサービスである。しかし,これらは実用化されたものもあるかもしれないが,現在のIPv6普及度合いを見ると,こうしたサービスがIPv6のキラー・アプリになったとは言い難い。

 また,オンライン・ゲームやP2P型のアプリケーションもIPv6のキラー・アプリとして有望視されたこともあった。今振り返ってみると,こうしたアプリケーションはうまくNAT(アドレス変換)装置を越えて使えるように実装された。そのため,これらも「IPv6ならでは」というアプリケーションにはならなかった。

 ネットワークは,多くのユーザーがつながってこそ価値が増す。利用者にしてみれば,つながる先の少ないIPv6に移行するメリットはない。そうなると,サービス提供側もますますIPv6対応サービスを打ち出しにくくなる。結局,こうした「負のスパイラル」が現在まで続いている格好だ。

IPv4アドレスが枯渇すると事業を拡大できなくなる

 ここへ来てIPv6に注目が集まっているのは,IPv4アドレスの枯渇が現実のものとして目前に迫ってきたからだろう。IPv4アドレス全体のうち割り振れるIPv4アドレスは,現時点で残りわずか12%(関連記事)。早ければ2年後の2011年にIPv4アドレスは枯渇する。

 IPv4アドレスを入手できなくなるとどうなるか。もちろん,これからインターネットを利用したいという新規ユーザーにIPアドレスを割り当てられなくなる。インターネットを利用する人口はこれで打ち止めだ。さらに企業でも,拠点が増えたときにその拠点をインターネットにつなげなくなる。また,インターネット上に新たにサーバーを立てられなくなるので,SaaS(software as a service)やASP(application service provider)などの新規サービスは提供できなくなり,ニコニコ動画やミクシィのような楽しいWebサービスも今後登場しなくなる――。

 ちょっと極端な想像かもしれないが,事業や生活の向上が見込めない寂しい時代がやって来ることになるだろう。インターネットを使って事業をしている企業や事業者にとっては,業務継続計画(BCP:business continuity planning)の問題でもある。

 もちろん,キャリア・グレードNATの利用やアドレス売買の解禁といった,今あるIPv4アドレスを有効に使う方法も検討が進んでいる。ただしこれらは,一時しのぎの対策にはなっても,利用できるIPv4アドレスの総数が増えるわけではない。そしてこの「アドレスの総数を増やす」という根本的な解決をもたらすのがIPv6だ。IPv4アドレスの枯渇こそ,IPv6の“キラー・アプリケーション”と言えるのではないだろうか。

最初に対策を打ち出す必要があるのは誰?

 このIPv4アドレス枯渇は,インターネットを利用する関係者すべてに影響が出る問題であると考えている。プロバイダやデータセンター事業者といったインフラを担う事業者はもちろん,こうした事業者から受注を受けるシステム開発会社やインテグレータ,さらには,プロバイダやデータセンターが打ち出すサービスによっては企業の情報システム担当者や家庭のインターネット・ユーザーも影響を受ける可能性がある。

 IPv6を使うにしろ,それ以外の対策でしのぐにしろ,真っ先に対策を打ち出す必要があるのは,インフラ設備を持ち,ユーザーにサービスを打ち出す必要のあるプロバイダやデータセンター事業者になるだろう。企業や個人に係わらずインターネットの利用者は,こうした事業者が今後打ち出すサービス内容をウォッチしておく必要がある。

 以下は,宣伝である。

 IPv4アドレスの枯渇対策を打ち出すためには,業界特有の技術知識や経営戦略的な視点が欠かせない。そこで「対策待ったなし」の状況と言えるプロバイダとデータセンター事業者を対象にしたセミナーを企画した。既にIPv4アドレス枯渇対策に着手している事業者のキーパーソンを呼び,現実的に対策を実践するための考え方やポイントを語ってもらうセミナーである。現在のインターネットを支えている多くの方にご参加いただければと考えている。

■プロバイダ/データセンターのIPv4アドレス枯渇対策セミナー

 なお,このIPv4アドレス枯渇に関する情報は,特番サイト「IPアドレス枯渇カウントダウン」でも随時発信していく予定である。