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 ウィルコムがMVNO(仮想移動体通信事業者)としてNTTドコモから無線設備を借りる協議を進めているのは既報の通り。次世代PHSはエリア展開に時間がかかるので,NTTドコモの網を“つなぎ”に活用するのが狙いと見られる。

 ただ,置かれた状況は厳しい。同社の特徴と言えば,「音声定額」と「データ通信」。しかし,音声定額はソフトバンクモバイルのホワイトプラン,データ通信はイー・モバイルにお株を奪われた。契約数こそ純増と純減を繰り返しながら450万以上を確保しているが,2007年度上期に3760円だったARPU(1契約当たりの月間平均収入)は2008年度上期に3070円にまで下がった。

 10月には「(ウィルコム株の60%を保有する)カーライル・グループがNTTに保有株式の売却を持ちかけ,破談になった」(10月8日 日本経済新聞)とする報道も出た。編集部の取材ではカーライルがNTTに売却を持ちかけたのは事実。それどころか,他事業者からは「(カーライルが)当社にも持ちかけてきた」という声まで上がっている。これらの点を総合的に判断すると,行き場を失って出てきた苦肉の策が冒頭のMVNOと見るのが妥当だ。

 仮にMVNOが実現しても次世代PHSが厳しい状況は変わらない。高速データ通信サービスはウィルコムよりも先にUQコミュニケーションズがモバイルWiMAXのサービスを始める。後には携帯各社によるLTE(long term evolution)も控える。また,次世代PHSは中国に展開することで,基地局や端末ならびにそれらの部品コストの低減を期待していた面がある。だが,中国は通信事業者の再編で当てにできない状況である。生き残りをかけた次の一手に注目したい。