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 阪急百貨店や阪神百貨店を展開するエイチ・ツー・オー リテイリングは2008年4月,NEC製のCPUブレード「Express5800/120Bb-d6」と,シャーシ「SIGMABLADE-H v.2」を導入。決め手の一つは,電力制御機能だった。

 複数のサーバーを1台に集約すれば,リソースの利用効率が高まり,電力効率も向上する。実際,VMware ESX Serverを使って130台のサーバーを32台のCPUブレードに集約した同社は,CPU使用率を平均20%から50%に引き上げ,消費電力の削減につなげた。

 ただし,ここまではサーバー集約による省電力。同社の場合,さらに高いレベルで消費電力を削減する機能にこだわった。

 具体的には,CPUブレードを収納するシャーシが持つ「EMカード」と呼ぶ電力制御機能を活用。EMカードを使うと,ラック全体とシャーシ単位で電力の上限を設定し,使用電力が上限値に近づくと自動的にCPUのクロック数を落とし,消費電力を抑制する。ポイントは,ラック全体の電力上限をそのままに,シャーシごとに電力の上限を譲り合う点だ(図2)。

図2●エイチ・ツー・オー リテイリングがこだわった電力制御機能<br>電力の上限値を設けないと,高いレベルの省電力が見込めない。エイチ・ツー・オー リテイリングでは,ラック全体の電力上限を設定すると同時に,稼働状況に応じてシャーシ単位で電力を再配分する仕組みにこだわった
図2●エイチ・ツー・オー リテイリングがこだわった電力制御機能
電力の上限値を設けないと,高いレベルの省電力が見込めない。エイチ・ツー・オー リテイリングでは,ラック全体の電力上限を設定すると同時に,稼働状況に応じてシャーシ単位で電力を再配分する仕組みにこだわった
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 例えば,シャーシ1の電力上限が3kW,使用電力が2.5kW,シャーシ2の上限が2kW,使用電力が1.9kWだったとしよう。このときシャーシ2でアプリケーションを新たに稼働させようとした場合,電力不足が発生し,ブレードの電源をオンにできない。すると,シャーシ2のEMカードが他のEMカードに電力不足を通知。電力に余裕のあるシャーシ1のEMカードが電力の上限のうち,必要と判断した0.5kWをシャーシ2に割り当てる。これで,シャーシ2上でブレードをオンにし,アプリケーションを稼働できる。

 データセンターにサーバーを預けている場合,消費電力に応じて料金が下がることは少ない。通常はkVAと呼ぶ電源容量で料金が固定的に決まるためだ。だが「電力の上限を想定できれば,適切なkVAで契約できる。消費電力が劇的に減れば,データセンター側との価格交渉時の材料にもなる」と,同社の米田嘉之氏(システム企画室 グループ基盤担当部長)はEMカードの有効性を説明する。

100V電源で“共存”させたい

 ブレードサーバーの電源においては,ここ1年で大きな変化が表れた。従来の200V電源に加えて,国内で普及する100Vのコンセントに対応したブレードサーバー製品が充実してきたのである。

 ネット企業のディー・エヌ・エーで製品選定に当たった茂岩祐樹氏(ポータル・コマース事業部 システム部 IT基盤グループ グループリーダー)は,100V電源にこだわった1人。その理由を次のように説明する(図3)。

図3●ディー・エヌ・エーがこだわった100V電源のメリット<br>ブレードサーバーで主流の200V電源は電力効率が高いメリットがある。しかしディー・エヌ・エーは,ブレーカー工事の手間やコスト,既存のストレージやネットワーク機器がすべて100Vであることなどから,100V対応の製品を選んだ
図3●ディー・エヌ・エーがこだわった100V電源のメリット
ブレードサーバーで主流の200V電源は電力効率が高いメリットがある。しかしディー・エヌ・エーは,ブレーカー工事の手間やコスト,既存のストレージやネットワーク機器がすべて100Vであることなどから,100V対応の製品を選んだ
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 「既存のストレージやネットワーク機器はどれも100V電源が中心。ここに200V電源のサーバーを共存させるにはブレーカーの交換工事が必要だった」(茂岩氏)。今でこそ100V電源のブレードサーバーが増えてきたが,当時は一部に限られていた。そこで導入したのが,100V電源に新たに対応したばかりの日本HPのシャーシ「BladeSystem c3000」だった。

 国内ではデータセンターの大半が100V対応だったことや,100V電源の方がデータセンターの料金が割安という利点もあった。「データセンターからはブレーカーの工事に3週間かかると言われた。スモールスタート,スピード重視のネット企業では,200V電源を使うメリットの方が,むしろ少ない」と茂岩氏は説明する。

 とはいえ,100V電源では注意すべき点もある。例えば電源ごとに独立したコンセントが必要なほか,電圧が安定しないテーブルタップや延長コードの利用も避けたい。さらにディー・エヌ・エーが導入したc3000の上位モデルは,収納できるブレードの数にも制限がある。このほか,NECのモデルのように,CPUに4コアを使えないという製品もある。100Vだからといって,家電製品のような感覚で扱うのは避けた方がよさそうだ。