「トラフィックを気にせず大容量のコンテンツを配信できる」――メディアエクスチェンジの堤下昌一氏(営業・カスタマーサービス部 部長)は,同社のデータセンター「MEXデータセンター」の特徴についてこう語る。同データセンターの顧客には,映像配信やオンライン・ゲーム提供を行うITベンチャー企業が多い。最近は携帯電話などモバイル機器向けに,コミックや電子書籍などといったコンテンツ・サービスを展開する事業者が増えているという。その理由は,外部との太い回線にある。
太い回線でシンプルなサービスを提供
MEXデータセンターの外部接続の帯域幅は広い。回線提供業者に制限はあるものの,データセンターからインターネットへは70Gビット/秒。センター内ネットワークのインタフェースは10Mビット/秒~1Gビット/秒を備える。
なぜこれほど太い回線を確保できているのか。それは,同社のスタートが,インターネット接続プロバイダ間の相互接続サービスを提供する商用インターネットエクスチェンジ(IX)だからだ。太い回線を利用したコンテンツ配信のニーズがあるはずと,いわば付帯事業として始めたデータセンター事業だったが,今では,同社の主力ビジネスに成長したという経緯がある。
同社が基本的に提供するのは,ラックとケーブルとネットワークのみ。後はシンプルなハウジング・サービスに徹している。
超都心型で電力供給も抜群
MEXデータセンターのもう一つの大きな特徴が,その立地だ。都内池袋という繁華街のまっただなかの,それも商業施設サンシャイン60の中にあるというのだから驚きだ。
ここを選んだ理由は,大きく四つあるという。
1)商用IXの集積地である千代田区大手町から10km圏内にある
2)東京電力の豊島変電所がビル直下にあり,電力を調達しやすい
3)設立当初の出資者の一つであるTTNet(東京通信ネットワーク,後のパワードコム)の東京北支店がすぐ近くにあり,広帯域の通信回線が引き込みやすい
4)利用者にとって利便性が高い
特に大きいのは4)の利便性だ。同社の調査によると,ITエンジニアのデータセンターでの平均滞在時間は約3時間。サンシャイン60なら,その間の飲食や休憩の場所に事欠かないと判断した。人里離れたさみしい場所に設置されるデータセンターも少なくない中,都心にある点は魅力の一つといっていいだろう。
設備的に特筆すべき点は,電源供給能力とネットワークにある。変電所が直下にあることから,架線および架線にまつわるトラブルが原因で発生する停電の影響は受けない。また,内部ネットワークは完全冗長構成を採用しており,ネットワーク機器が原因の障害も考えられないという。
最近は,ノード監視,ポート監視などの各種監視サービスもスタートさせた。こちらは個別見積もりとなるので用途に応じて相談可能だ。
ワンモア・ポイント
システム運用では,徹夜も辞さない覚悟で時間をかけて作業をしなければ場面が必ず発生するものだ。そのようなときに重宝するのが,同社のオペレーション・ブース(写真1)。ブース同士はパーティションで区切られており,24時間常駐可能。顧客企業向けの有料オプション・サービスとなるが好評だという。ただし宿泊用途での利用は不可とのことなので,仮眠室とは考えないように。
●名称:MEXデータセンター
●場所:東京都豊島区東池袋3-1-1 サンシャイン60
●最寄り駅:JR池袋駅,東京メトロ副都心線東池袋駅
●料金:1ラック(帯域幅100Mビット/秒,ケーブル付き)で月額85万円~