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1960 年生まれ,独身フリー・プログラマの生態とは? 日経ソフトウエアの人気連載「フリー・プログラマの華麗な生活」からより抜きの記事をお送りします。2001年上旬の連載開始当初から,現在に至るまでの生活を振り返って,週1回のペースで公開していく予定です。プログラミングに興味がある人もない人も,フリー・プログラマを目指している人もそうでない人も,“華麗”とはほど遠い,フリー・プログラマの生活をちょっと覗いてみませんか。
※ 記事は執筆時の情報に基づいており,現在では異なる場合があります。

 私は日ごろは開発側として「こんな仕様はだめ。できない」などとクライアント企業に大きな口をたたいているが,実は,一般ユーザーとしてもかなり注文が細かいヤツだということを最近実感した。

 私が携帯電話を使い始めたのは約8年前。NTTドコモが高額だったので,ツーカーセルラー東京の携帯を購入した。それ以来,携帯の番号やメール・アドレスが変わるのを嫌って,キャリア(事業者)を変更せずに使ってきた。周囲からドコモやauへの移行を勧められても我慢してきた。ツーカーグループはKDDIと資本関係があるので,そのうち合併もしくはブランド統合の話が持ち上がって,携帯の番号を変更せずにauに移行できるのではないか,という期待があったからだ。

 そして,長い間待った甲斐があって,昨年の10月,ようやくツーカーからauへの移行サービスが始まった。私と同じことを考えていた人が結構いたようで,移行を希望する人があまりにも多く,受け付けを一時中断せざるを得なかったようだ。結局私がauに移行できたのはこの2月になってからのことである。

 携帯で難しいのは機種選択である。私は昔,店頭のモックだけで機種を選んで後悔したことがある。手で少し力を加えるだけで筐体がギシギシという感じできしむグッドデザイン賞の機種をはじめ,フォントのデザインが汚くて表示を目にするたびに不愉快になる機種,ボタンを押してから反応するまで1秒以上かかる機種,など。こうした経験をさせられているので,機種変更の際は最終的に2機種ぐらいに絞って,必ず実機を見て確認してから決めることにしている。しかし,今回は選択肢が少ないこともあって,店頭のモックで1機種を選んで実機を確認しただけで決めてしまった。

 手続きを終え,端末を手にするとさっそく近くの喫茶店に入り,いじってみる。操作感はそれほど悪くない。フォントは多少クセがあるものの,丸ゴシック系で悪くない。画面がずいぶんリッチである。基本的なオペレーションは従来と変わりないが,メニューから機能アイコンを選択するとアニメーションで反応する。ちらちらと動いて見せたり,反転したり,きらりと光ったり。最近はこんなに凝るようになっているのか。開発者やデザイナの苦労がしのばれる。

 いや,他人事ではない。こういうユーザー・インタフェースに慣れ親しんでいくうちに,携帯でもこんなにグラフィックス・リッチなアプリケーションがどんどん作れるようになったのだと真正面から信じてしまった人たちが作る企画書がこわい。だからといっていつまでも旧態然としたユーザー・インタフェースにしがみついているわけにもいかないが。機能面で頭打ちになってくると,見栄えで新しさを訴えていこうとするのは世の習いというものである。

 画面のデザインを軽くカスタマイズしたあと,よく使う機能を確認してみる。スケジュール表は,まあこんなものだろうといった感じ。次にアラーム機能。前に使っていた携帯はアラーム機能を使う気になれなかった。というのは,曜日+時刻の組み合わせでアラームの時刻を設定するからだ。いまから3時間後にアラームを鳴らしたいときに,今日が何曜日か意識しないと設定できないなんて,とても使っていられない。何を考えてこういう仕様にしたのか設計者に聞いてみたい気持ちになる。おかげで私は目覚まし時計を購入してしまったほどである。

 今回の端末は,毎日/曜日指定/日付指定をしてから時刻を設定するので,少しはましになったかもしれない。「毎日」にしておけば,次にやってきた設定時刻にアラームが鳴るからだ。ただし,用が済んだら解除しないと翌日も同じ時刻に鳴る。これに気がつかないと,例えば,打ち合わせの途中でアラームが鳴り出してしまう。

 マニュアルを読まずにいろいろ操作していて,フルブラウザがついていることに気がついた。知っているサイトにいくつかアクセスしてみたが,最近はJavaScriptやFlashを多用しているサイトが多いのであまり実用的ではない感じがする。Googleでキーワード検索をしてApacheのサイトを閲覧してみるが,画面が狭いこともあっていまいち。拡大/縮小してみても使いづらさは変わらない。せっかくだがこいつを使うことはないだろう。

 次はアプリケーションである。ツーカーを使っていて悲しかったのは,HDML端末であったために,一般的な携帯サイトをまともに見ることができないこと,そしてアプリがないことであった。これで多少はアプリで楽しめるかも,と思った私の期待はすぐに裏切られた。BREW(携帯向けのソフトウエア実行環境)は,アプリの開発キットが高額で,公開するのにキャリアの承認が必要ということは知っていた。だが,キャリアが用意したインデックスからたどれるサイトはほぼすべてが有償なのはどういうことだろう。

 まあそれは仕方がないとして,移動時間に遊ぶゲームでもダウンロードしようとしたら今度は,新機種なのでほとんどが未対応というありさまである。その間,画面だけはちらちらときれいに変化していくのでなおさら腹立たしい。そんなものに手間をかけるのだったら,機種判別して対応しているアプリだけを表示する機能を付けてもらいたいものだ。もういいや。アプリは使わないっと。しかし音楽や動画のダウンロードも同じで,ほぼすべてが有償。とにかく機能を満載しておいて,いや,機能がたくさんあることをうかがわせておきながら,使いたかったら金を払えという雰囲気が全体にただよっていて,なんとなく不愉快である。

 第一印象がこんな感じであったから,私は自分の携帯がすっかり嫌いになってしまい,家に忘れることが多くなった。私ほどではないにせよ,一般ユーザー向けのサービスにいろいろと不満を感じている人は多いに違いない。だが,いちばん大変なのは,そうした一般ユーザーに向けて,なんとか最小公倍数のサービスを提供しつつ収益をあげようと考えている企業にほかならないのではないかと思うのだ。