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 まず最初に着手すべきことは、自社に合った契約書のひな型を作成することである。この中で、「誰がいつ何を開発するか」、つまりプロジェクトのQCD(品質・コスト・納期)を明確しておく。

 「契約を締結する際にあいまいな点があれば、プロジェクトを遂行するうえでのリスクになる」。経産省の第一版や追補版の策定にかかわった、ひかり総合法律事務所の藤原宏高弁護士は、こう指摘する。

 多くのシステム開発プロジェクトでは、開発工程によって、作業やユーザー企業との役割分担などが変化していく。経産省のモデル契約書第一版では、プロジェクト単位で基本契約書を結び、開発プロセスに応じて個別契約書を多段階で締結することを推奨している。

 具体的には、「企画支援サービス業務」「要件定義作成支援業務」「外部設計書作成業務」「ソフトウェア開発業務」「ソフトウェア運用準備・移行支援業務」「運用業務、保守業務」の6段階に分けることを想定している。

 「開発工程によって作業内容が異なるのだから、その工程ごとにやるべきことを契約で明確にするのは、いわば当然のことではないか」と経産省の奥家敏和 商務情報政策局情報政策ユニット情報処理振興課総括補佐は話す。

 この第一版の考えを反映したのが、日本ユニシスだ。日本ユニシスの新たな標準契約書は、大きく二つの点を変更している(図2)。一つは契約の基本方針を変えたこと。もう一つは、個別契約を細分化したことだ。

図2●日本ユニシスは2008年4月から、システム開発プロジェクトの契約を9年ぶりに全面的に見直した(日本ユニシスの資料を基に作成)
図2●日本ユニシスは2008年4月から、システム開発プロジェクトの契約を9年ぶりに全面的に見直した(日本ユニシスの資料を基に作成)
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 契約の基本方針とは、ユーザー企業といつどのように契約を締結していくかの考え方である。第一版の考え方にのっとり、まず受注が決まった時点で、すべてのプロジェクトで基本契約を結ぶように変えた。

 基本契約では、プロジェクト全体にわたる条件やどの工程にも共通するルールを定める。詳細な作業内容や成果物については、開発フェーズごとに個別契約を結ぶ。従来、日本ユニシスではユーザー企業と一度、基本契約を締結した後は個別契約しか結んでいなかった。

 個別契約は以前から開発フェーズで分かれていた。これをさらに細分化したのが新標準である。上流工程があいまいになるのを防ぐため、要件定義工程と論理設計工程で契約を分けたのが最大の変更点だ。

 日本ユニシスの元山裕之 品質保証部プロセス統括室長は、「本当に要件定義を終えて、設計工程に進んでよいのかどうかを、ユーザー企業と確認し合う機会になる」と意義を説明する。「次工程で実施すべき内容を明らかにしなければ進めないようにすることで、あいまいな要件定義を防ぐ」と元山プロセス統括室長は話す。

 現在は、順次、新標準契約に移行している。2009年4月以降は、すべての案件が新標準契約に基づいたものになる予定だ。