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 NHKオンデマンド室の木田実室長は,NHKが2008年12月1日に開始した見逃し視聴サービス「NHKオンデマンド」(NOD)のサービス概要と,サービス開始後2週間の利用状況について,デモンストレーションを交えて報告した(写真1)。

NHKオンデマンドは受信料とは別会計で運用

写真1●NHKオンデマンドをデモンストレーションしたNHKオンデマンド室の木田実室長
写真1●NHKオンデマンドをデモンストレーションしたNHKオンデマンド室の木田実室長

 まず木田氏は,NHKがNODを提供する理由として,NHKの番組への接触率を上げることが目的であると説明した。視聴者のさまざまなニーズに合わせた「番組の視聴方法」を提供することで,新しいマーケットを創出しようというわけだ。

 NODが提供できるようになった背景には,(1)2007年末のNHK法の改正,(2)ブロードバンドの普及,(3)番組配信に関する権利者団体との基本合意――の3点があるという。2007年末のNHK法改正前は,NHKがNODのような番組配信サービスを行うことができなかった。改正後は,会計を受信料から切り離すことを前提に番組配信サービスを提供できるようになった。NODはNHK本体とは別会計で運用しており,サービス立ち上げ時に発生する費用としてNHK本体からの借入金があるものの,これは将来的に返済することになっている。

 NODは,パソコン向けとテレビ向けの2種類のサービスがある。パソコン向けサービスは,一般的なADSL回線でも利用できる低速のビットレートで提供する。一方のテレビ向けサービスはHDTV(高精細度テレビ)の画質を生かせるように高速のビットレートで提供する。パソコン向けサービスはNHKが直接利用者に提供し,テレビ向けサービスはNTTぷららの「ひかりTV」,JCOMの「JCOMオンデマンド」,アクトビラの「アクトビラ」など既存のテレビ向け動画配信サービスを経由して提供する。NODで視聴できる番組には,放送後の番組を翌日から1週間配信する「見逃し視聴サービス」と,過去の名作ドキュメンタリーやドラマを集めた「特選ライブラリー」がある。見逃し視聴サービスは毎日,特選ライブラリーは毎週番組を追加しており,サービスを利用するたびに新しいコンテンツを視聴できる。

1年半ごしの交渉で権利者団体と基本合意

 NHKはNODを開始するにあたり,約1年半をかけて権利者団体と交渉を行い,番組配信に関して基本合意を得たという。現行の著作権法では,インターネットを利用した動画配信の場合,番組に関係する権利者が1人でも反対すると配信できない。交渉作業は容易ではないものの,権利者団体との基本合意ができたおかげで大きく前進したと,苦労を語った。

 インターネットを使えば海外へのサービス展開も技術的には容易だが,国際配信の権利処理が難しい番組があったり,配信許諾を得るためのコストが莫大になったりすることから,国内での利用に限定してサービスを開始した。ただし,スポーツの映像に関しては国内の配信であっても権利を得るのが難しいものが多く,ニュース番組のスポーツコーナーでは映像を配信できない旨の説明表示に差し替えて音声だけを流すなど,いわゆる「映像にフタをする」作業を行って配信している。

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