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 企業におけるPCの利便性は必ずしも高くない。2009年1月にITproの読者を対象に日経コンピュータが実施したPC運用管理に関するアンケート調査によって、「パソコン(PC)の不具合を自分自身で解決したユーザーが55.7%」「17.7%のユーザーが、企業からPCの社外への持ち出しを禁止されている」「PCに3種類以上の運用管理ツールを導入しているユーザーは37.4%」といった結果が得られた。管理のための管理を止め、現場の使い勝手を高めながらも、企業資産をしっかりと守るマネジメント環境の確立が急務だ。

 PC管理の重要性は高まるばかりだ。ネットの利用頻度が高まる一方で、ウイルスやワームによる被害が拡大しているため、セキュリティ対策には力を入れざるを得ない。個人情報保護法や日本版SOX法などに対応するための、コンプライアンス(法令順守)も強めなければならない。これらに対応した結果、利用現場ではユーザーの満足度が下がっているわけだ。

積み木のように増える運用業務

 対策ツールを導入したり、データを集めたりと、PC運用管理に必要なコストや担当者の負担も大きくなっている。PC運用管理ツールを開発・販売するクオリティの飯島邦夫取締役は「対策のたびに新しい作業が追加されるだけで、従来の運用管理業務が見直されているわけではない。積み木のように業務が増えている」と指摘する。

 大多数の企業はセキュリティ対策の観点から、「パッチ適用やウイルス定義ファイルの更新といった“管理”は実施している」と主張するだろう。しかしそれは管理といえるのだろうか。実態としては、パッチ適用や定義ファイル更新をユーザーに作業させたり、アプリケーションの導入や不具合の対応を現場任せにしたりしていないだろうか。

図1●現状のPC運用管理は利用部門に作業や制限を強いていないだろうか
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 こういった“名ばかり管理”は、情報システム部門にとっても、業務部門にとっても不幸だ。情報システム部門にとっては、どのようなPC(機種)が何台あるか、そのソフトウエア構成が何かさえ把握できない状況が生まれ、的確なPCの運用管理に不安が残る。業務部門にすれば、パッチ更新などの作業を強いられるうえに、情報システム部門からの支援も手薄。社外へのPC持ち出し禁止に代表されるような制限も増加するばかりである( 図1)。

図2●PCの運用管理を見直せば、IT部門にも利用部門にもメリットがある
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 PCを的確に管理するためにも、業務部門の利便性を向上するためにも、情報システム部門がPCのハードとソフトを一元的に管理することが求められている(図2)。運用管理ツールの機能が成熟し、サービス事業者が提供する運用代行サービスも充実してきた。それらをしっかり活用すれば、ハードルはそれほど高くない。