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米グーグルが携帯電話向けに開発したAndroidを,組み込み機器向けプラットフォームとして活用することを推進する「Open Embedded Software Foundation」(OESF)が,3月に発足する。携帯電話以外の機器に利用する際に足りない機能を開発し,無償公開するのが主な活動だ。

 OESFは,VoIP(voice over IP)関連ソフトウエアを開発するアイ・ピー・ビジョンの三浦雅孝取締役が中心となって立ち上げる。既にアームやフリースケール・セミコンダクタ・ジャパン,NECシステムテクノロジー,富士通ソフトウエアテクノロジーズなど複数の大手組み込み関連企業が参加を予定しており,3月24日の設立総会では「大小合わせて30社以上が集まる見込み」(三浦取締役)。

 OESFがAndroidの搭載先として想定するのは,IP電話やデジタル・テレビ,カー・ナビゲーション・システムなど表示画面を持つネットワーク機器である。現状,これら組み込み機器を開発する企業は,開発案件ごとにオープンソースや市販のソフトウエアを選定して組み合わせている。「個別の製品の市場規模が小さいため,パソコンのような共通環境がない」(三浦取締役)からだ。この開発手法は,効率が良いとは言えない。

 組み込み機器の開発に共通するプラットフォームがあれば,開発者は必要な機能を選択して,製品を組み上げられる。開発効率は一気に上がるだろう。

追加ソフトは有償で開発を委託

 プラットフォームが共通化されれば,そこで使われているソフトウエア群が事実上の標準となる。企業や通信事業者のシステムと組み込み機器を連携させたアプリケーションを開発する場合,通信手順やプロトコル・スタッフが共通であれば相互接続性は確保しやすくなる。

 そこでOSEFは,Androidを開発プラットフォームの核に据え,ここに組み込み機器に必要な機能を追加することにした。Androidを選んだのは,「アプリケーションの実行環境,ミドルウエア,OS,アプリケーション開発環境,ユーザー・インタフェースのフレームワークなど組み込み機器開発に必要なものが,無償かつオープンソースで提供されているため」(三浦取締役)である。

 組み込み機器メーカーは,機器に応じてAndroidにはない機能を追加する。例えば,企業向けのIP電話機器向けに必要な機能には,SIP(session initiation protocol)やIPsecなどが挙げられる(図1)。

図1●Open Embedded Software Foundationの狙い<br>携帯電話用の機能しか用意されていない現状のAndroidに,組み込み機器で必要な機能を追加する。これにより,多様な機器にAndroidを搭載できるようにする。
図1●Open Embedded Software Foundationの狙い
携帯電話用の機能しか用意されていない現状のAndroidに,組み込み機器で必要な機能を追加する。これにより,多様な機器にAndroidを搭載できるようにする。
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 これらの機能を実現するソフトウエアは,OESFが会員企業に,有償で開発を依頼する。そのための資金には会員企業の年会費を充てる。「現在,オープンソースのプログラムは無償かつボランティアで開発するのが当たり前になっているが,欧米のように労力に応じた対価が得られるようにする」(三浦取締役)。開発したソフトウエアは,原則としてApache 2.0のライセンス契約に従って,無償のオープンソースとしてインターネット上で公開する計画だ。

 OESFは,技術者トレーニングや評価用ハードウエアの開発も視野に入れている。評価用ハードウエアは,電話やイーサネットのジャック,映像用の端子など組み込み機器に必要な機能を見極めたうえで,ハードウエア会社に開発を委託する。

■変更履歴
記事公開当初,最初のパラグラフで「複数の大手組み込み関連企業が参加を決めており」としていましたが全社からの申し込みが完了していないため「参加を予定しており」に修正いたしました。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2009/03/02 20:25]