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 プログラムを作るときに,エディタやコンパイラ,リンカー,デバッガといったツールは欠かせない。これらのツールを統合し,GUIで統一的な操作ができるIDE(統合開発環境)の利用も当たり前になりつつある。機能間の連携が図られていたり,クラスやメソッド名などを正確に入力できる支援機能が搭載されていたりと,IDEを使う方が便利になるケースが多いからだ。

 現在もIDEは進化を続けている。構成/変更管理ツールと連携できたり,プラグインで機能拡張ができたり,対象言語が拡大したりしている。こうした進化が利用者から評価されているようだ。昨年3月から4月にかけて日経SYSTEMSがインターネットで実施した「開発支援ツール徹底調査」への回答からも,このことがうかがえた。

 例えば,マイクロソフトのIDEであるMicrosoft Visual Studioシリーズの利用者からは「いろんな言語で開発できる」「ソースコード管理ツール(Visual SourceSafe)と密に連携できるところがよい」といった回答が多数寄せられた。また,Javaによる開発などで使われているオープンソース・ソフトウエアのIDEであるEclipseのユーザーからは,「必要な機能をプラグインで追加できるので便利」「用語に合わせてプラグインを組み合わせるなど,自在にカスタマイズできる点がすばらしい」などの回答をいただいた。

 両ツールとも総合満足度は高かった。ただし,機能が充実している分,「動作環境として求められるハードウエア・スペックが高すぎる」という指摘も目立った。マルチコアCPUの普及などCPUの高速化や,メモリーの急激な低価格化が進行した現在では,不満に思う点が多少異なってきているものと思われる。

IDE以外のツールは未成熟?

 IDE以外の開発支援ツールに目を向けると,内部統制の整備・運用に向けて変更/構成管理ツールの需要が高まったり,工事進行基準に対応するためにプロジェクト管理ツールの利用が促進されたりすることが予想される。また,上流工程で不整合が見過ごされると,プログラミングやテスト段階で表面化した際に大きな手戻りを招くことから,設計ツールなど上流工程を支援するツールに対する関心が以前にも増して高まるとみられる。

 こうしたツールはIDEと比べると,成熟といえるほどの状態には至っていないことが多い。必ずしも普及しているとも言いがたい。IDEではすでに淘汰が進んで有力製品に利用が集中しているのに対して,IDE以外のツールは定番と呼べるものがごく一部しか存在しない。単機能にこだわったニッチ製品も少なくない。製品の機能や使い勝手も,進化の途上にあると言えよう。

 前述の調査では,回答者がここ1年で利用した開発支援ツールについて,「インストールや初期設定がしやすい」「個人やチームのメンバーが使い方を覚えやすい」「ツールの機能が充実している」といった11種類の評価項目ごとに満足度を尋ねている。開発ツールの利用実態を「分析/設計」「プログラミング」「単体テスト」「機能テスト」「負荷テスト」「変更/構成管理」「プロジェクト管理」の7分野に分けて聞いた。(詳しい結果はこちら)。

 今年も3月から4月にかけて「開発支援ツール徹底調査」を実施する。昨年以上に,多くのITエンジニアの皆さんのご協力を仰ぎたいと考えている。利用実態をより正確に把握したいからである。前回の調査では7分野について尋ねたが,回答者の負担が軽減されるよう,今回は分析/設計,プログラミング,テスト,変更/構成管理,プロジェクト管理の五つに絞った。

 調査は4月上旬まで実施する。結果は日経SYSTEMS6月号(5月26日発行)などで公開していく。ITエンジニアの皆さん,開発支援ツール徹底調査にぜひご協力ください。(開発支援ツール徹底調査への回答はこちら