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 経営者にとって、情報システムは頭痛の種になりがちだ。業務に必須だが投資に見合った効果が出るとは限らない。ほかの設備投資に比べて専門的で難解でもある。

 野村総合研究所で約20年間勤務した後に、人材派遣大手スタッフサービスのCIO(最高情報責任者)を務め急成長を支えた著者が、ベンダーとユーザー両方の視点から、“システム屋”の思考回路と、上手な付き合い方を説く。

 前回(第3回)では、企業の情報システムが目に見えないところでその企業の競争力を左右していることを説明しました。

 この情報システムは、誰が発想するのでしょうか。誰が作っているのでしょうか。誰が守っているのでしょうか。ここに“システム屋”と私が勝手に呼ぶ人たちがいます。(第1回もご覧ください)

 私もシステム屋の1人です。ITベンダー・システムインテグレーターに勤務している人、製造業・流通業など「ユーザー企業」の情報システム部門・システム子会社に所属している人、IT人材の派遣会社に登録している人もシステム屋に含まれます。政府の推計によれば、日本国内で約90万人に上る「大勢力」です。

 彼らは、システム・エンジニア(SE)、プログラマー、オペレーターというように職種で表現されることもあれば、システム技術者あるいはシステム担当、システム企画担当などと呼ばれることもあります。ここでは、ITベンダーの経営陣も含めて、ITベンダーに所属する人全員と、ユーザー企業の情報システム部門に所属する人全員をまとめて、システム屋と呼ぶことにしたいと思います。

 さて、話を戻して、日本のユーザー企業の情報システムは誰が発想し、誰が作り、誰が守っているのでしょうか。

日本流の“改善力”を発揮できないシステム屋

 誰が作り、誰が守っているかという質問に対しては、「システム屋である」という答えで良いと思います。しかし、もう1つの、誰が発想しているかに対する答えは、残念ながら多くの場合、システム屋ではなく、ユーザー企業であったり、欧米のシステム屋であったりします。

 「こういう情報が取れると、こういう使い方ができ、事業の競争力強化につながる」という発想は、多くの場合、ユーザーによるものです。もしITベンダーにこの発想力があれば、それを実現するシステムがパッケージソフトや共同利用型サービス(SaaS=サービスとしてのソフトウエア、ASP=アプリケーション・サービス・プロバイダー)として広まり、ITベンダー自身も潤うはずです。

 ところが、日本のシステム屋にはこの発想がありません。「この技術を使えば、こういうことができ、事業の競争力強化につながる」という発想は、多くの場合、欧米のシステム屋を発信源とし、日本は輸入する一方です。

 発明と呼べるほどの画期的な発想力は、情報システム以外の分野でも日本の力は強くありません。しかしながら、外国で発明されたモノや概念、サービス、方式などについて、いったん日本に輸入されると、日本人のこだわりと、みんなで知恵を出し合う文化が改善に次ぐ改善を呼び、結果として国際競争力の高いモノに変身することがあります。

 自動車や時計、コピー機などのモノだけでなく、コンビニエンスストアというアイデア・方法論なども米国の発明でしたが、日本が世界最高品質に仕立て上げました。

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