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 主要なサーバーやストレージ機器には冗長電源が標準で付属していたり,オプションで追加が可能になっていることが多い。しかし,機器単体の可用性ばかり注目し,システム全体を考えずに,安易に冗長電源を利用してはいけない。

 電源をA系統とB系統で二重化してあっても,システムには電源が1系統からしか取れない機器が含まれていることが多い。すべての機器が冗長電源を持っているとは限らない。

 そのため,せっかくA系統とB系統に分けても,どちらかの系統からしか電源を取れない機器は,その系統が停電になれば停止してしまう(図1)。それでは,システム全体の可用性は確保できない。

図1●すべての機器の電源が冗長化できるとは限らない
図1●すべての機器の電源が冗長化できるとは限らない

 このような事例に陥らないようにするために使うのが「自動切換えスイッチ(ATS)」だ。ラック搭載型のコンセント・バーのような製品で,2系統から受電ができる。片系統の電源が停電すると,自動的に電源系統の切り替えを行う(図2)。

図2●冗長化機能のない機器には,自動切換えスイッチ(ATS)を使う
図2●冗長化機能のない機器には,自動切換えスイッチ(ATS)を使う

 ATSには,LEDによる使用電流値の表示,ネットワーク・インターフェースからのリモート操作,機器ステータスの監視,電源系統が切り替わった際の電子メール送信といった機能を備えた製品もある。

UPSは電源系統別に用意する

 ユーザーによっては,冗長化した電源に対し,片系統にUPSを付け,もう一方は商用電源のままにする場合がある。UPS購入のコストを抑えるためであろう。しかし,これはできる限り避けたい。

 UPSは落雷,電圧異常などの電源障害の対応も兼ねている。したがって落雷があった場合,UPSで保護していない系統から機器に影響を及ぼす可能性がある(図3)。

図3●UPSで保護していない系統から機器に影響を及ぼす可能性がある
図3●UPSで保護していない系統から機器に影響を及ぼす可能性がある

 また,UPSの機能で停電時にシャットダウンさせ,復電時にサーバーを自動起動させたい場合でも,UPSの電源が落ちている状態で商用系統の電源のみ復電してしまうと想定された動作が行われず,システム全体で見た場合,不都合が発生する可能性がある。

 よって,電源の冗長を行う際は,両系統ともにUPSを接続する方が望ましい。どうしてもコストを抑える必要があるなら,片系統を商用電源に直接接続する運用もやむを得ないが,内部冗長が可能なUPSでシステムを運用する方法もぜひ検討すべきだろう。

APCジャパン
サービス事業部 ソリューションエンジニアリング部
ソリューションエンジニア 水口 浩之

前職は国産包装機械メーカーの海外事業部で技術営業として英語圏を担当。2006年よりAPCジャパンにて,ソリューションエンジニアとして顧客の希望するソリューションを設計している。UPS,ラック,空調,APCの全製品を組み合わせ,UPSとソフトウエアによるシャットダウン・システムの設計からラックの架台設計まで行う。ITインフラのスペシャリストを目指す。