将来のシステム分散を防ぐために,データセンターには最初からある程度のスペースを確保しておきたい。そう考える企業なら,ソフトバンクテレコムの東京第四データセンターが有力な候補になるかもしれない。
同データセンターは,ソフトバンクテレコム・グループが全国9カ所に展開するデータセンター施設のうち,床面積が約2万平方メートルと最大規模を誇る。開設は2008年7月。東京駅から地下鉄で30分圏内の東京都江東区に位置する(写真1)。
幹線道路に面しており,大型トラックでの進入や夜間の搬入出に対応。建屋は最新の免震技術を施し,指透過方式の生体認証など7段階の関門を備えるなどセキュリティ面でも万全を期す。また,無料ロッカー,プロジェクター付きの会議室,接客用の応接室など,入館者の利用ニーズにも配慮している。
高まるグリーンIT需要に対応
省エネルギー対策にも力を入れている。その一つが,ラック前面から冷気を吸入し,ラック背面から排気するホットアイル,コールドアイル方式の採用。もう一つが屋上の空調室外機周りの工夫だ。
後者では,位置,向き,間隔など風向きを考慮しながら最も効率の高いパターンを探って室外機を配置。さらに高床式にし,そこに遮風板を設置することで流れる空気を真上に誘導して室外機の廃熱を上空に拡散させている。また気温が高くなると散水を実行。自動的に温度上昇を軽減する。結果的に消費電力を約10%抑制することに成功したという。「近ごろはグリーンIT対策がデータセンター選びのRFP(Request for Proposal)に入ることも多くなった。消費電力を抑えられる点は大きな差別化ポイントになる」と,ソフトバンクテレコムの寿村修司氏(ネットワークサービス営業本部 DCサービス営業部 部長)は語る。
設備の品質維持にも気を配る。法定点検とは別に独自の点検基準を設定し,予備の発電機などが想定通り動作することを随時確認している。運用を統括する桐谷貴夫氏(セールスエンジニアリング本部 オペレーション統括部 データセンターオペレーション部 担当部長)は,「通信回線事業者が自分たちのネットワーク・センターを運営する気概でサービスを提供している」と胸を張る。
企業ネットワーク環境をワンストップで
東京第四データセンターのネットワーク環境は,ソフトバンクテレコムのバックボーンに直結している。旧ODNとソフトバンクBBという2系統のAS(Autonomous System)に接続し,伝送システムも異経路で完全二重化されている。また閉域網の構築にも対応しており,ワンストップ・サービスで企業ネットワークを担える点も,顧客が同社を選択する大きな理由の一つとなっているという。
さらに同社は,仮想化技術を利用し,2カ所のデータセンター間でサーバー,ストレージを含むITシステム環境を自動復旧させる実証実験なども実施。企業のディザスタ・リカバリ・システム構築支援にも意欲的だ。
ワンモア・ポイント
東京第四データセンターのラックには,それぞれに電力計が取り付けられている。ユーザーが自分たちで消費電力量をチェックできれば便利なのではと考えてのもの。実際,“節電の意識が高まる”とユーザーの評判は上々だ。
●名称:ソフトバンクテレコム東京第四データセンター
●場所:東京都江東区
●最寄り駅:要問い合わせ
●料金:1ラック20万円/月~