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中堅、個人事業主にしわ寄せ

 大手SIerの外注改革の影響を大きく受けているのが中小SIerだ。仕事のルートを失ない、「本来なら受注できた仕事が取れなくなった」と訴える経営者は多い。

 元請けなどとの取引関係を築けない中小SIerのなかには、技術者の出向に頼るケースが出てきた。仕事を受注できなくなった3次下請け以下のSIerが、2次の協力会社などに技術者を出向させる。そのうえで、2次の協力会社の社員として、プロジェクトに参加するのである。

 だが現実には技術者の出向は、適法かどうかに注意する必要がある。労働者派遣分野の行政指導を担当する厚労省需給調整事業課の鶴谷陽子課長補佐は「個別の判断が必要だが、出向に事業性が認められたら、違法な労働者供給事業に当たることになる」と説明する。

 典型例が、出向で受け入れた技術者を顧客先に派遣し、そこで得た収益を出向元がバックマージンとして受け取るような例である。派遣だけでなく、出向社員が業務請負に従事する場合でも、同様に判断される可能性がある。

 中小SIerと同様に、全国に数万人いるとされる個人事業主の技術者も仕事を失い始めている。「システム開発の自営業」として、個人が自らSIerなどと直接契約を結んで業務を請ける技術者である。請負適正化の一環として、「疑わしい一人請負は避ける」という理由で、個人事業主を使わない方針を打ち出すSIerが出てきたことが原因だ。

 個人事業主の営業代行などを手掛ける首都圏コンピュータ技術者(MCEA)の真杉幸市社長は「大手SIerの誤解や過剰反応が原因で、個人事業主が被害者になっている」と窮状を訴える。2009年2月下旬にMCEAは、「SIerやユーザー企業の誤解を解く」(真杉社長)ため、適正な個人事業主の活用をチェックするための指針や自主点検表をWebサイトで公開した。労働局などにも内容をチェックしてもらい、問題はないとの見解を得ているという。

存在感増すIT派遣事業者

 法令順守の流れですべての企業が悩んでいるわけではない。この動きを味方に付けて、IT派遣業者は事業の拡大を図っている。

 人材派遣大手のインテリジェンスの瀬野尾裕ITプロフェッショナルサービス統括部長は、「大手SIerが技術者派遣のメリットを認め始めた。パートナーとして継続的な取引関係を結ぶ例が増えている」と話す。

 ITサービス事業の拡大を目指して、派遣業者のなかには、技術者派遣だけでなく、主に準委任契約による業務請負サービスを提供する企業も増えてきた。パソナテックの加藤取締役は、「双方の事業を提供することで、顧客のニーズに応じて、適切なサービスが提案できる」と説明する。

 国は労働者派遣法の改正を予定しており、技術者派遣がさらに広がる可能性もある。