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ネットワークの待機電力が新ロットに加わる

 さて,驚いたことに,これまでのような手続きを踏まずにいきなり出てきた新ロットがある。これらのロットにはすでに番号がつけられており,表3のとおりである。

Lot 20 局所暖房器具(Local room heating products)
Lot 21 温風分配型セントラルヒーティング(Central Heating products using hot air to distribute heat (other than CHP))
Lot 22 電気/ガス/電子レンジなどオーブン(Domestic and commercial ovens (electric/gas/microvawe),including when incorporated in cookers)
Lot 23 グリル(Domestic and commercial hobs and grills, including when incorporated in cookers)
Lot 24 業務用洗濯機/乾燥機/食洗機(Professional washing machines, dryers and dishwashers)
Lot 25 非フード産業用コーヒーマシーン(Non-tertiary coffee machines)
Lot 26 ネットワークスタンドバイ(Networked standby losses of EuPs)
Lot 27 無停電電源(Domestic uninterruptible power supplies (UPS))
表3●新規に対象となることが確定した製品群

 これらのロットのうち先の10の新ワークプランとの重複が気になる方はいないだろうか。実は筆者もこれを気にして,1月27日にDG ENTのEifel氏を訪問したときに聞いてみた。すると,「新ワークプランのうち,3つはDG TRENに任せ,最後の水利用機器はDG ENTに任せた。残りの6つを我々が担当する」ということだった。

 この回答から推定できることは,重複して見えるLot 20,21は,候補リストの2)電気/燃料ヒーターを具体化したものであり,Lot 22,23,25は,候補リストの3)調理機器を具体化したものということだ。他のロットは従来のロットから除外されたものが,新たなロットになっていると考えられる。例えばITpro読者にとって重要なLot 26のネットワークスタンドバイは,もともとLot 6で検討されていたが,スコープから除外された。これの経緯については次回以降詳しく述べることにする。

 このように,一つのロットから複数のロットができてくることは珍しいことではない。むしろ今後,あるロットで自分の製品が除外された場合,そこで安心すべきではなく,あらたなロットとして後々取り上げられる可能性を覚悟すべきだろう。

エネルギー使用製品以外にも規制対象を拡大

 それでは今後の製品ロットはどのように追加されていくのだろうか。まず,新ワークプランの段階で候補に選ばれた34の製品群は,規制対象になる可能性が高い。今回の10の新ロットに選ばれなくても,いずれは該当するものと覚悟しておくべきだろう。既にそれを予見して,候補リストに入っていた医療機器の業界団体は「自主規制の申請」を開始した。「自主規制」というのはEuP指令第17条に記載されており,付属書VIIIに規定される条件を満たした場合には,実施措置の対象を免れると言う制度である。

 一方,図3に示すように,さらに驚異的な拡張が2008年に欧州委員会から提案され,現在審議されている。これは,EuPの対象をこれまでのようなエネルギー使用機器にとどまらず,ErP(Energy Related Products)と言い換えることによって,自らはエネルギーを使用しなくても,エネルギー消費に関係の深い製品を含めようという提案である。例えば,空調の使用量に大きな影響を与える建設材料などに範囲が拡大されると見られている。日本の企業としては,素材産業などの関連する業界も,エコデザイン要求への対応に備えるべきだ。

図3●ErPへの拡張が迫る
図3●ErPへの拡張が迫る
 EuPをErPへと言い換え,自らはエネルギーを使用しなくても,エネルギー消費に関係の深い製品に規制対象を拡大しよという動きが見られる。
市川 芳明(いちかわ よしあき)
日立製作所 環境本部 主管技師
 1979年,東京大学工学部機械工学科卒,日立製作所に入社。原子力の保全技術及びロボティクス分野の研究に従事。1995年より環境保全分野のソリューションビジネスを立ち上げる。2000年,初代の環境ソリューションセンタ長を経て,現職。東京工業大学,お茶の水女子大学の非常勤講師などを務めた。現在,IEC(国際電気標準会議) 環境配慮設計WG 国際主査,ECMA International TC38議長。工学博士,技術士(情報工学)。EcoDesign2006 優秀論文賞,IEC 1906 Award,Electronics Goes Green 2008 Awardなどを受賞。ISO14000のための環境影響評価(日経BP社)EuP指令入門(産業環境管理協会)など著作多数。