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訪問先ではほぼノートしか使わない。新規顧客に限って、これに自社のノウハウ集などの説明資料が加わる
 「営業部門に異動した最初の1~2年は本当に苦痛ばかりの毎日だった。今でも自分は営業向きではないと思う」。キーウェアで運輸担当の営業チームを率いる脇谷勝はインタビューの冒頭でこう打ち明けた。技術部門から異動した当初は「今日は何を話したらいいのか」と訪問する人の顔を思い浮かべながら、胃が痛い思いをする毎日を送っていたという。

 しかし脇谷は間もなく、営業部門で自分の能力を発揮できる場所を見つける。顧客先でのトラブル対応である。脇谷は自ら営業部門の先頭に立って、顧客に対してプロジェクトの状況や見通しを説明したり、トラブル収拾策で顧客と技術部門を橋渡ししたりする仕事で存在感を示したのだ。

 普通の営業担当者なら避けて通りたくなる局面だが、脇谷は「人の嫌がる仕事こそ、自分を売り込むチャンスと考えた。それに、自分にとっては世間話より楽な仕事」と話す。ほどなく、脇谷は顧客や営業部門のスタッフの信頼を勝ち得ていく。

 営業として飛躍するチャンスは、交通広告管理システムの販売のテコ入れを任された2005年に到来した。同システムは、2000年にある私鉄傘下の広告代理店に収めたものをパッケージ化したものだが、他の交通機関には全く売れなかった。

 脇谷は売れない原因を、価格が高いことと、導入事例を販売促進に活用できていないことと分析する。そこで脇谷は当時の上司と、第1号ユーザーでパッケージの共同開発者でもある広告代理店の担当部長との信頼関係を築きながら、契約で決めた販売価格などの見直しに加え、販売促進用の事例紹介に実名で登場してもらうための交渉に臨んだ。

 数カ月の交渉を経て熱意は実った。契約の見直しと事例紹介の両方に了解が得られたのである。これを契機に、脇谷のチームは販売活動を立て直し、私鉄やバスなどの関東の交通機関4社から立て続けに契約を獲得した。

 現在、脇谷が率いる運輸担当の課題は、取引社数を拡大すること。かつて顧客訪問が苦手だった脇谷は、新規顧客との関係作りに奔走する毎日だ。

=文中敬称略

脇谷 勝(わきや まさる)
キーウェアソリューションズ
ビジネスソリューション事業本部
営業本部マネージャ(運輸担当)
1990年に北海道電子計算機専門学校を卒業後、キーウェアソリューションズに入社。運輸・報道システム第1技術部に配属され、システム開発に従事する。開発のプロジェクトリーダーを務めていた97年に営業部に異動。99年に設備管理システムの販売を担当し、2003年にチーフに就任。2007年より現職。読書と1年前に始めたゴルフが趣味。